2022年度予算に反対~区民の生活に目を向けた区政への転換を~

インクルーシブな練馬をめざす会を代表して、2022年度予算に反対の討論をおこないました。

会派5人のメンバーが、所属の委員会や予算委員会で質疑したことをまとめた討論です。


インクルーシブな練馬をめざす会を代表して、議案第1号・2022年度練馬区一般会計および第2号から第4号・国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計の各予算に反対の討論をおこないます。

2022年度一般会計予算は約2912億4400万円と過去最高額となりました。

予算編成にあたって区長は昨年度に続き今年度も「区民とともにコロナ禍を乗り越える」ことを掲げ「施策の優先順位を見極め、不要不急の歳出を削減し、限りある財源を効果的・効率的に活用していかなければならない。」と述べました。しかし「区民とともに」と言いながら、区長の考える区民は「区の計画に賛成する区民」であり、区の計画に疑問や反対の声を上げる区民の声に耳を傾けず、置き去りにしていく姿勢は問題です。

オミクロン株による新型コロナ感染症の拡大は子どもの間で急速に広がり、保育園や学校の現場では

対応に追われています。「練馬区モデル」を自慢しているだけでなく、検査体制が十分なのか、現場の状況や職員、保護者の不安の声を受け止めるべきです。

美術館再整備は基本設計だけで約4300万円が計上され、大規模改修の場合に70億円という試算を示したものの、事業者の募集要項や工事費、補助金の有無など具体案が示されないまま計画を進めようとしています。区は「本物のアート」と出会える機会を提供する」と言いますが、むしろ市民が主役となるような美術館のあり方を一緒に考えるべきです。美術館再整備ありきで勤労者の福祉施設であるサンライフ練馬を廃止することについても地域住民は納得していません。不要不急の歳出の削減というのであれば、一旦立ち止まり、計画を見直すべきです。

区立谷原保育園の閉園計画を保護者が知ったのは2022年度の1次募集を締め切った後です。あまりにも突然のことに保護者は困惑し、多くの反対の声があがっています。また区の職員として、保育士として誇りをもってこれまで尽力してきた保育士の方たちに対しても誠意が見られません。区は一人ひとり丁寧に対応していると言いますが、子どもの最善の利益を第一に考えるべき保育の使命からも逸脱するものであり、閉園計画は撤回するべきです。

区は子どもの権利条例はつくらないと言い続けていますが、都の児童相談所が練馬区に設置され、さらに連携を強化するというのであれば、区も条例を制定するべきです。そして子どもが声をあげやすいようサポートするアドボカシー、調査・監視・救済するコミッショナー、オンブズパーソンなどの機関を設置することで、困難を抱えている子どもの権利を保障する仕組みが強化されると考えます。

住民合意のない再開発や公園整備、道路計画についても見直しを求めます。 石神井公園駅南口西地区再開発事業は組合設立に向けて、すべての関係権利者の合意形成に力を尽くすことが区の責務と考えます。外環道のシールド工事を再開するのであれば、住民の暮らしを守る視点で予防原則に基づく住民対応を事業者に求めるべきです。

地球温暖化の解決に向けて、プラスチックやエネルギー施策にどう取り組むかは待ったなしの課題です。区は率先して全てのプラごみのリサイクルルートをつくり、拡大生産者責任をすすめるべきです。

また新しく策定する脱炭素社会に向けた計画には、再生可能エネルギー100%のエネルギー計画を掲げ、区民との協働で実現することを求めます。

東京電力福島第一原発事故から11年が経った今でも約3万7千人の方が避難生活を送っています。原発の廃炉、使用済み核燃料の廃棄や汚染水の処理、現地労働者の人権問題など、課題は山積しています。二度と同じ事故を起こさないためにも区として脱原発の宣言をするべきです。

国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険は、保険料が上昇し続ける一方で加入者の多くが低所得である実態があり、持続可能な制度ではありません。抜本的な制度の見直しをさらに国に求めるべきです。

フードバンクなど、区民のボランティアに支えられている困窮者支援活動に長い列ができる現状を区長はご存じでしょうか。新型コロナウイルス感染防止のための自粛要請が格差を拡大させたことは明らかです。今すべきことは失業や減収で住まいや日々の暮らしに困窮する区民への支援の拡充です。

区長はこの8年間、ご自身の都庁時代の功績を事あるごとにアピールしてきました。しかし大切なのは今の区民がどんな困難を抱えているのか区長自ら区民に近寄って知ることです。区長に会えたことに驚くような滅多に会えない存在ではなく、もっと身近な区長を区民は求めているのです。

区民の生活に目を向けた区政への転換を求めて反対討論を終わります。