区立谷原保育園閉園の撤回を求める陳情は不採択

石神井公園駅で谷原保育園閉園について議会報告

今月13日に臨時に開かれた文教児童青少年委員会で、区立谷原保育園の閉園計画の撤回を求める陳情の審査があり、賛成3人(インクルーシブな練馬をめざす会、日本共産党、立憲民主党)、反対7人(自由民主党、公明党、未来会議・都民ファーストの会・国民民主党)で不採択となりました。
傍聴席は保護者や保育関係者、支援者の方たちでほぼ満席でした。

陳情の要旨は「区立谷原保育園の閉園計画を撤回し、老朽化した園舎を建て替えるよう、区に働きかけられたい。」というものです。
審査の段階で集まった署名は何と11839名。
保護者をはじめ保育園関係の方たち、協力者のみなさんが毎週のように署名集めをした結果です。

この審査時に私は当委員会の委員ではありませんでしたが、陳情が出されたのは今年1月20日、昨年度で、この時私は当委員会に所属していました。

昨年の11月、保護者に谷原保育園の閉園の知らせが突然届きました。
≪経過≫
2021年7月2日、谷原保育園に隣接する生産緑地の買取申し出が区にあり、28日に保育所用地として取得することを決めました。
生産緑地法では、生産緑地の買取りの申出があった日から30日以内に地権者に回答しなければならず、回答しなければ他に売却される可能性があり、区の土地として活用できなくなるため買取りを決めたとのことです。
そして11月18日に区として保育所用地の活用の考え方を決定し、22日の財産価格審議会に諮問、承認されました。
この間、保護者や議会への報告は全くなく、私たちも財産価格審議会に出て初めて知ったのです。
築55年という老朽化への対応と言いますが、この時点で公共施設管理計画の中には示されていませんでした。

以下が今年5月、前年度の委員会で出された区の参考資料です。経過や保護者説明、財政効果などが示されています。
01【資料1】陳情第123号 区立谷原保育園の閉園計画の撤回を求めることについて.pdf (discusscabinet.net)

●区民サービスの向上 これが大前提とのことです。
●0歳児保育や延長保育といった保育サービスの充実を図る
●施設整備や維持運営のコスト削減や効率化

サービスやコスト削減より「子どもにとってどうなのか」を最優先に考えるべきです。

子ども家庭部長の「子ども家庭費は一般会計の4分の1を占めている。私どもはそういったことを肝に銘じて保育に限らず子ども施策を展開させていただいた。そういった中で1円たりとも無駄にしないということで取り組んできている。ご理解賜りたい。」
と言う発言は「子どもの最善の利益」の視点がなく、「子どもの権利条例は必要ない」と言い続ける練馬区の子ども施策がこのような認識なのだということをあらためて確認しました。
区の考える「効果的な業務やサービスの充実」ではなく「子どもにとってどうなのか」を考えるべきです。

また計画では2023年度から新規の募集を停止し、全ての子どもたちが卒園する2026年度末に廃園とするとしています。
「希望があれば誘致する民間保育園に転園できる、異年齢交流もする、子どもたちへの影響に配慮して計画した」といいますが、異年齢交流は一時的なもの(月に2回程度)であり、日常的に同じ園の中で一緒に過ごす異年齢保育とは子どもにとって全く違うものです。
そして毎年卒園して園児が減っていく状況の中で子どもたちは過ごすわけです。

この時の委員会で私は
「なぜ区立保育園がいいかというのは、安定してずっと保育を受けられる。それは、どうしても、民間であれば経営の問題などが突然起きてくることも考えられる。保護者の方たちにとって「谷原保育園を選ぶ」というニーズなのです。延長保育もない0歳児保育もないけれども、それでもいい、それでも入れたいというのは、お金にかえられないもの。それは区としての誇りではないかと思う。」
ということを発言しました。

保護者が求めていた全体説明会も結局おこなわれず、今年7月に保護者が主催の説明会を開き、区長の出席を求めました。
しかしそれにも応じず、課長の出席でした。児童福祉行政はライフワークだとおっしゃる区長が、その責任ある立場として要望があるにもかかわらず直接保護者と向き合おうとしない理由がわかりません。

しかし区は「現在、区立保育園直営園が36園ある、必要性は当然感じている。また、医療的ケアについても直営を指定園としている。その辺についても直営の役割は認識している。」と委員会の中ではっきり発言しているのです。

引き続き区立谷原保育園の存続を求めていきます。