「終わりのない原子力災害」上映会報告

7月11日、上映&トーク『終わりのない原子力災害』3.11 東日本大震災から10年」を開催しました。
この作品はアジア太平洋資料センター(PARC)国際環境NGO FoE Japanの共同制作で、原発事故から10年が経ち、この10年何が問題になってきたか、そして現状はどうかを知ってもらうために、学校や学習会で教材として使ってもらうことを目的として作成した43分の作品です。
特に若い人たちはチェルノブイリの事故も福島の事故も知らない、政府があまり知らせようとしない、語りにくいという中で、事故について忘れられてしまわないように、という思いも込めています。

 

 

 

原発について安倍前首相の「アンダーコントロール」の発言や、
復興オリンピックという言葉が大きく打ち出されてきましたが、福島の方たちがどれだけ国の政策に振り回されてきたのかをあらためて共有し、私たちも自分事としてこれからどう向き合っていくのか一緒に考えたいと思い、企画しました。

43分の中に家族、農業・漁業・酪農従事者、経済学者、科学者など、それぞれの立場での問題提起があり、ぎゅっと中身の詰まった作品です。

 

上映後、共同制作者である国際環境NGO FoE Japanの吉田明子さん から「エネルギー基本計画の見直しと市民のアクション」についてお話があり、今第6次エネルギー基本計画策定に向けて国で審議されているエネルギーのベストミックスは依然として原発・火力ありきなことに会場からも怒りの声が上がりました。
そもそも会議に出席している委員のほとんどが原発は必要との考えを示していることに驚きます。
今後計画案が示され、意見募集もありますので、ぜひ皆さんも意見を出してください‼

FoeJapanの吉田明子さん

練馬区で支援活動をしている2団体から活動報告をしていただきました。
環境まちづくりNPO元気力発電所
練馬区で石神井と練馬を環境ステーションとしてリユース事業をおこない、その売り上げで区内の施設に太陽光パネルを設置。すでに10か所に設置しています。
また、毎月11日を「支援の日」として、売り上げの30%を福島保養プロジェクトに寄付しています。
その他にもソーラークッキングや環境学習会など、原発に頼らない再エネ、省エネのまちづくりをめざす活動を続けています。

元気力発電所代表の新藤絹代さん

NPO法人 福島保養プロジェクト@練馬

福島こども保養プロジェクト@練馬副代表の中川信明さん

福島原発事故後、放射能による健康や日々の生活に不安を抱く福島の子どもたちと家族がのびのび川遊びや外遊びができるよう、2013年から毎年夏に飯能に招いて保養キャンプをおこなっています。
また、健康相談や区内の「保養ハウスさかさい」での交流会なども開催して支援を続けています。

両団体のように10年、20年と活動を続けることは思いだけで簡単にできるわけではありません。
設立当初から関わってきた方たちを見て、その活動に賛同する多くの人が更に関わることで大きな輪となってこれまで続けてこられたのだと思います。人のつながりは大切です。

最後にやない克子がエネルギーに関する議会での取り組みや情報提供など、報告をしました。

ネット区議のやない克子より報告

原発事故がひきおこした人々の分断や心ない誹謗中傷、差別。
放射線量が基準値以下、でも数歩進めば1ミリシーベルト、という現状。
普段の当たり前の生活が突然奪われ、二度と元には戻らないことは命に関わる問題。
しかし、国は福島の人々を置き去りにして復興を掲げています。
映像の中で「復興って一旦元に戻ってから更に再び立ち上がることでしょ。もとに戻らないのにそこから立ち上がることなんて、復興なんてありえない」と怒りを込めて語るその言葉が心に残ります。

二度と同じことを繰り返さないためにも、原発事故を若い人たちに語り継ぎ、復興やエネルギー政策について国にお任せではなく、一緒に考え発信する機会をくっていきたいと思います。

右からネット区議のやない克子、元気力発電所の新藤絹代さん、FoeJapanの吉田明子さん、きみがき (中川さんは移動のため残念ながら一緒に撮影できませんでした)