東京都こども基本条例が制定されました!

「東京都こども基本条例」の学習会。前列右が森田明美さん

1989年に国連で子どもの権利条約が採択され、1990年に発効。その後子どもへの虐待などが深刻化することを重く捉え、生活者ネットワークは子どもの救済機能を備えた子どもの権利条例の制定をめざし、都議選においても条例制定を都に求めることを重点政策の柱に掲げ、活動してきました。

条例制定を求める10万筆を超える署名も集まり、都議会に提出しましたが、2001年1月の厚生委員会で継続審議の扱いとなってしまいました。その20年後にようやく実を結びました。

3月29日、東京・生活者ネットワークで今回の条例制定にも関わってこられた森田明美さん(東洋大学社会学部教授、子どもの権利条約総合研究所監事、こども福祉研究所代表、子どもの権利条例東京市民フォーラム事務局長)をお呼びして「生かそう!東京都こども基本条例~その成果と今後の課題~」緊急報告会がおこなわれ、参加しました。

●ネットの山内れい子都議から今回成立に至るまでの経過報告
生活者ネットワークはこれまで東京都に子どもの権利条約に基づいた子どもの権利条例を作りたいと取り組んできた。議会の情勢と都知事の考え方など色々なものが相まって機を見ながらきたが、なかなか動かなかった。
そのような中、東京都の長期計画「『未来の東京』戦略ビジョン」において「子どもの施策を第一に挙げる」ということが示され、子ども未来会議が開催されたこともあり、チャンスでもあった。
今年の都議会第1回定例会で東京都こども基本条例(案)が議員提出議案として厚生委員会に付託され、ネットも共同提案者。
3月15日の厚生委員会では修正案について様々議論されたが、最終的にまとまり、26日の本会議で全会派一致で可決された。

●森田明美さんから成果と今後の課題について
本来ならば条約ができてこの32年間、本気で子どもの権利の具体化に大人の責任として向かっていかなければいけない。
20世紀の終わりに大きな問題になったのが虐待。
子どもの権利の視点がなかったら様々な政策、様々な事業の方向性がゆがむ。東京都が条例を作ったときに基礎自治体はどうするのか。キャッチボールをしていくことが大事。
児童相談所が各23区につくられるときに、少なくとも誰が児相の評価をしているかにもよるが、そこで子どもの権利侵害をしているかもしれない。その時に東京都が子どもの権利をきちんと監視し、時には各自治体に指導勧告できるくらいの権限をもつことで、具体的に子どもを救済したり、事業の変更を迫ることができる。

今コロナの問題もあるが、21世紀に入って少子化、子どもたちの虐待、ひきこもり、不登校を含めたくさんの問題が子どもたちに襲いかかっている。だからこそ各自治体が児童相談所を持つ。しかし残念ながら子どもの施策に関しては子ども自身が権利の主体にならない限りは子どもが「間違っている」ということすら言うことができない。子どもコミッショナーというしくみをこの中に活かすことが大きな課題。

子どもたちは「あれもこれもダメ」と言われ必死になってこの青年期に爆発したい気持ちを押さえている。こんな時に彼らの発言がこれほど大事な時はないと思うが、何も聞いてもらえない、何の説明も受けられないという状況の中で疎外されている、大人社会の言うがままにしなければならない。

一番大事なのは子どもたち、若者たちが今を生きているパートナーであり、未来を作り出していく私たちのパートナーでもあるという基本的な考え。
真っ先にやることはこの条例を子ども若者たちに伝え、子どもたちとともにこの条例を活かす方法を考えること。
条例を今まで頑張ってくれている若者たちや子どもたちにひとつのお礼のあかしとして渡して欲しい。
そしてこの条例を活かすかどうかは結局都議会がどうするかということと、各自治体の政治家、行政、市民がこれをどう使うかにかかっている。

 

ようやくできた「東京都こども基本条例」。
「つくって終わり」ではなく、これから練馬区でどう活かしていくか、子どもや若者と一緒に考え意見を聞き、課題について条例の付則にある「3年後の見直し」にも反映できるよう活動していきます。