生活保護は最後のセイフティネット

今年度4回目の補正予算について、17日の予算特別委員会で質疑が行われました。

一般会計は74億2,448万円。そのうちの50億4,731万円は新型コロナ感染症対策です。
区長は所信表明で「今回の補正では、今後、生活保護申請の増加が見込まれることから予算を増額した」と述べています。
「生活保護法にもとづく保護費」として7億9,012万2千円を計上しています。
3月の緊急事態宣言後、職や住まいを失ったり、収入が減少して生活困窮に陥った人が増え続けています。
しかし、自治体の対応に差があることや、当事者の人権が守られていない事例もあることから練馬区の状況について質問しました。

以下質問と答弁です。

Q:新型コロナ感染症による影響を受けて解雇による失業、寮を追い出されたなどでネットカフェや路上での生活者が増えている実態がある。特に自粛期間はネットカフェも休業となり、やむなく路上での生活となり、所持金数百円となり、区や支援団体にSOSを求める声が届いている。また、家族がいて住まいがあっても収入が絶たれ生活困窮に陥っている方も多くなるかと思う。

特に「今夜寝るところがない。食べるものがない。」という方が相談に行った時の最初の対応・支援について自治体によって差がある。
「今日泊まる所」としては、まず無料低額宿泊所をすすめる自治体があるが、無料定額宿泊所の中には「生活費としてほとんど取られてしまって手元にいくらも残らない」というところもあり、そのような情報を得て相談に行った方が「無料定額宿泊所は自分としては無理」と言っても「無料定額宿泊所に入らないとその先保護申請を受け付けない」という自治体もある。一方で、本人の希望を聞いて都が用意しているビジネスホテルを案内している自治体もある。特にひとりで相談に行った場合、言うなりになってしまう場合や相談をやめて帰ってしまう方もいてその後、支援団体の方に福祉事務所に同行してもらいビジネスホテルに入れるようになったケースも聞いているが、区はどのような対応をしているのか。

A:練馬区においては一部報道にあったような無低に入らないと生活保護は受けさせない、というような不適切な対応はしていない。本人の生活状況を丁寧に伺い、無低や東京都が提供するビジネスホテルの場所を提示したうえで相談者本人に決定してもらう。そのうえで生活保護による支援をおこなっている。

Q:区としても無料定額宿泊所の状況を把握していると思うので丁寧に対応して欲しい。また、居住地がなくても今いる自治体に保護申請できるところと、「前の晩にいた自治体に申請して」「他の自治体に行って」というところ、その他保護費の支給や食料の給付などの対応が自治体によって違うのは問題である。どこに行っても本当に困っている人の相談に親身に応えてくれることが必要だと思うが、自治体間で共有する場はあるか。

A:基本的に生活保護を実施するにあたっては東京都や国からの通知に従った対応をする必要がある。練馬区においても都や国からの通知に沿って対応をしてきている。今後も遵守していく。23区の部課長会があり、情報共有している。

Q:共有して改善できるところは改善するよう求める。
また、これから連休が多くなり、年末年始には福祉事務所の冬季休業もある。
職員の働き方も考えなければならないが、昨年の休み期間中は1階の受付のところでもし食べるものがなければ乾パンをお渡しし、緊急の場合は福祉事務所の職員につなぐということだった。
生活保護は命をつなぐ最後のセイフティネットと言われている。休み期間中どこにも行くところがない、対応してもらえない、という方への体制を何らか検討していかなければならない。またひとりで申請に行っても安心して相談できる体制をつくるべきだが。

A:区は今回緊急事態宣言を受けてゴールデンウィーク期間中、緊急に支援が必要な人への相談体制をとるために福祉事務所にコールセンターを臨時に開設した。今後の状況においてそのような特別な対応が必要となった場合にはその体制を確保していく。

以上。質問時間は10分しかなく、他の質問項目もあったので確認に留まりましたが、生活困窮とともにDVや虐待から逃れるために家を出ている方もいます。
今後、人材派遣による増員で人員体制を確保し、研修もしっかりおこなうとのことですが、当事者の人権が守られ、その後の生活再建に向けた支援までしっかり寄り添った対応ができているか、状況を把握して注視していきます。