第5世代移動通信システム「5G」について~一般質問から~

今月5日の一般質問で第5世代移動通信システム「5G」について質問しました。
わたしたちはこれまで何度も電磁波の人体への影響について議会で取り上げてきました。
ここ数年、スマートフォンの利用が急速に拡大し、7年前から4Gの普及で、基地局も増え続けています。

 

電車の中でもほとんどの人がスマホを見ているのが当たり前になっていて、最近では2,3歳の小さな子どもも静かにじっと画面を見ている、という姿に危機感を抱きます。
家の中ではさまざまな家電製品、パソコンなどの周辺機器、スマートメーターなどが使われています。生活が便利になればなるほど受ける電磁波の影響も多くなります。進化し続ける通信機器に対応して増設する携帯基地局から受ける健康への影響について、国は対策を考えていません。

進化し続ける通信システムへの不安
国際がん研究機関は、電磁波を「ヒトに発がん性があるかもしれない」と評価しています。
これまでも携帯基地局の新設にあたり、近隣住民への説明会も開かれず、「電磁波の影響を受けることに大きな不安を抱いている」との声も届いています。実際に健康被害を訴えている区民がいても、「国は電波防護指針に従った携帯基地局設置基準に基づいて設置しているため、区としても防護指針や同様のカイドラインも尊重していきたい。区に権限がないため事業者に指導するのは困難」など積極的な姿勢がみられませんでした。
これに対しわたしたちは予防原則に基づいた施策を求めてきました。
そして今年からは一部で「5G」のサービスが開始され、来年度からは本格的な実施になっていきます。
今年4月にすでに総務省は携帯電話事業者に5G周波数の割り当てをしています。
5Gは現在よりも100倍速い超高速、大容量で携帯電話だけでなく、防犯カメラ、自動車、教育、医療現場など広く使用することができるとしています。また、スモールセルというポータブル小型基地局が電柱や地下に250メートル間隔で設置できるとされています。身体に近い至る所で電磁波の影響を受けることが想定されます。
イタリア、ベルギー、ポーランドなどの都市では5G導入に反対しています。

都は導入にまい進!
東京都はTOKYO Data Highway 基本戦略 (Version.1) ~ UPDATE TOKYO ~を策定し、21世紀の基幹インフラ 東京2020大会のレガシー「電波の道」を拓くことで「都民の生活をより豊かにする」としています。そして基地局の設置に都の保有する建物や公園、道路、地下鉄、バス停、街灯、電柱などを開放することを示しています。
「5Gによる明るい未来を体感」と夢のような内容ばかり描かれていますが、それによって受ける電磁波から都民の健康を守る視点が欠けています。
都はすでに世界最速のモバイルインターネット網の構築に向け、ワンストップ窓口を創設するとともに、都の保有するアセットをデータベース化し、提供することで、通信キャリア等による5Gアンテナ基地局等の設置を強力に後押ししていく」として都の保有地と施設を公表しています。
このデータを見ても区内にも都が開放する基地局設置可能な場所が多数あります。

すべてに設置するとは限らないとしても、区民の健康を守る立場として人体への影響を明確に示せないなら進めるべきではないことを都に求めるべき。また区も5Gの利用者となることが想定されることから、曝露についての情報提供・独自の測定・対応の体制を検討するよう求めて区の考えを聞きました。

●そして区の答えは・・・
・5Gは本格的なIoT時代に必要なものであり、電波法に基づく規制により安全性が確保されていることから、都に5Gのインフラ整備の中止を求める考えはない。
・現時点では5Gを直ちに活用する予定はない。暴露についての情報提供や独自の測定などを行う考えはない。
という予防原則に基づき調査する姿勢がみられないものでした。

化学物質過敏症の人の8割が、電磁波過敏症も併発していると報告されています。区民の命と健康を守る立場に立った対策を求めました。引き続き注視して情報を届けていきます。