老後の住まいは何処に?
私が参加している研究会で講師を務め、「2025年の東京を見据えた現状課題にどう向き合うか」というテーマの1つ、高齢者の住まいについて話しました。
2025 年、東京都は高齢者数332 万人、高齢化率25.2%。そのうち75 歳以上が198 万人と6 割を占め、高齢者の3 割がひとり暮らし、という超高齢化都市になることが予測されています。
これまで経済優先にすすめてきた政策が格差社会をさらに広げ、子どもや高齢者の貧困が深刻な問題となっています。
練馬区における高齢者世帯の構成状況と単身世帯の増加を見ますと、65歳以上の人口は約157,000人、高齢化率21.7%で、そのうち単身世帯は49,000世帯。
また、生活保護受給状況と要介護の状況は、単身で低所得の世帯で要介護の人は38.8%です。
2014年の高齢者基礎調査では、暮らし向きの感じ方で「苦しい」と「やや苦しい」を合わせた“苦しい”と回答した人は、高齢者が38.0%、要介護認定者が37.1%、これから高齢期(55~64歳)が42.2%、特養入所待機者が51.8%となっています。
健康、生計やはっきりした理由はないけれども老後への漠然と不安を感じている人が多いことが調査結果からわかりました。
介護が必要になった時の生活場所は? 施設入居?それとも在宅?(各施設にかかる費用や介護や医療が必要となった場合も含めて)
高齢者、これから高齢期ともに「自宅で介護保険のサービスを利用しながら暮らしたい」が最も多く約4割で、「自宅で介護保険のサービスを利用しないで家族からの介護を中心に暮らしたい」と回答した人も含めると、在宅での生活を希望している人が5割前後を占めています。一方で要介護度が高くなったり、長期の療養が必要となった場合は家族に迷惑をかけたくない、との理由から在宅療養は無理だと思う人が3割います。
しかし、高齢の低所得者が増加する中で、収入に応じた施設と言っても年金だけで入居できる介護付きの施設はまだ少ないのが現状です。
もちろん今高齢者、そしてこれから高齢者にとって住まい方は切実な問題となっていますが、非正規雇用やフリーターが増える現状で、十分な収入がなく、将来に向けた
貯蓄もできない若者たちにとっても、今を生きるのが精いっぱいでしょうが、老後の生活は深刻な問題となってくると思います。
空き家の活用
練馬区では第二回定例会で「練馬区空家等および不良居住建築物等の適正管理に関する条例」の議案が可決されました。
生活者ネットワークは空家に関する条例は賛成ですが、不良居住建築物等に関しては居住者がいることから、人権にかかわる問題としてこの条例に盛り込むべきではないとこの議案に反対しました。
また、空家等についての条例は近隣の生活環境に関る内容が中心で、その活用については触れていません。
しかし、練馬区内で空家は1507棟。
各自治体でも空家の活用がすすめられていますが、グループホームやシェアハウスなどに活用して低所得でも入居できる福祉施設と連携した住居に利用できるよう、区が積極的に計画をすすめるべきです。
生活そのものを見直す
物の豊かさばかり追い求めていくと格差は更に広がっていくばかりです。
社会全体で豊かさの指標を見直し、教育や働き方、生活そのものを見直していくことが必要だと思います。