早い段階からシチズンシップ教育を
14日に区議会第三回定例会が終了しました。
今回は一般質問と決算委員会でシチズンシップ教育について取り上げました。
7月の参議院議員選挙から選挙権が満18以上に引き下げられ、同じ月に続けて東京都知事選挙もおこなわれました。
参議院選挙の投票率は区全体で58.3%で、そのうち18歳が64.1%、19歳が57.8%でした。続けて7月31日におこなわれた東京都知事選挙では区全体では61.1%でしたが、18歳が54.3%、19歳が47.7%と大きく下がっています。
選挙管理委員会は日頃から小中高等学校で模擬投票、出前授業などをおこない、6月13日には初めて選挙権を得た18歳から20歳までの20,437人に投票を促す葉書を出しています。
参議院選挙での投票率が高かったのは初めての投票、ということもあり、「行ってみよう」と関心も高く、続けて行われた都知事選挙では「この間行ったからもういい」と関心がなくなり投票率が下がったのではないかと考えます。もちろん模擬投票も体験として大切ですが、投票のしかたはわかっても目的を理解していないからではないでしょうか。
それはシチズンシップ教育ができていないことのあらわれであり、若者に投票するよう求めても無理ではないかと、選挙管理委員会の見解を聞きました。
これに対し区は
「1回目の参議院選挙で10代の投票率が高かったのはこれまでの主権者教育の取り組みが反映されたもの、都知事選挙は急な日程の中で主権者教育の準備が充分にできなかったこと」との答えでした。
シチズンシップ教育とは一人の市民として政治参加をすすめ、民主主義について理解することで市民性を高める教育です。社会に関わり、自ら考え判断できる主権者を育成する「主権者教育」がその一翼を担っています。主権者教育は選挙の投票だけを目的としてその都度おこなうものではありません。
早い段階から選挙や政治について学習することは大切なことです。しかし、単なる知識として詰め込む学習ではなく、日常的に社会の問題について取り上げ、相手の意見も受け止めた上で自分の意見も表明し、問題を批判的に捉え判断する「政治的リテラシー」が重要だと考えます。
日常的にシチズンシップ教育がおこなわれていれば選挙のための準備が間に合う、間に合わないの問題ではなく、自然に投票につながると思います。
また、日本は諸外国と比べ、ほとんどの学校で「政治的な話をしてはダメ」と規制される、また家庭でも「選挙のことは話さない」、「投票は主人に相談してから」など個人としての自由な考えや意見を言える環境にないのが現状です。大人の意識も変える必要があります。
さらに2年後に道徳が教科化されることは愛国心や規範意識の押し付けであり、自ら考えるシチズンシップ教育とは大きくかけ離れることが危惧されます。
投票率をあげるためのシチズンシップ教育ではなく、シチズンシップ教育によって市民性が高まり自治をはぐくみ、政治参加や投票へとつながります。