入館者100万人を超える図書館! ~文教児童青少年委員会視察報告~

熊本駅前にある「プラザ図書館」は駅前再開発地区である「くまもと森都心(しんとしん)」に建設され、昨年10月にオープンした複合ビル「くまもと森都心プラザ」の3、4階にあります。
東京の千代田区図書館長の経験もある、館長の田中榮博さんからお話を伺いました。

 市内に中央図書館があるので、初めはこのビルに図書館ができるのを周囲は反対しましたが、館長が丁寧に対応して店舗も1件1件説明に回ったそうです。人の流れも少しずつ変わり、1年経った11月で入館者は100万人を超えます。活字文化を変えたいとの思いもあり、これから更に実績を積み上げていくとのことです。

この図書館の蔵書は現在15万冊で、最高17万冊まで可能です。
来館者がいたので写真撮影はできませんでしたが、新しいこともあり、明るくレイアウトも工夫されていて木床が温かい雰囲気を作っています。

館長の「地域があって図書館がある」との考えから棚の随所に市民参加のコーナーを設置してあり、例えば地域のアーティストの芸術作品を展示して、その周りに本を置いてあったり、大学生が選んだおすすめ本のコーナーを設けたり、と視覚的にも堅苦しくなく楽しい空間になっています。

管理は建物全体が紀伊国屋図書館(くまもと森都心プラザ管理運営共同企業体)による指定管理で、図書館職員は33名のシフト制で全員司書の資格があり、1年以上の図書館勤務経験者を採用しています。
総合カウンターも接客・サービスの指導が徹底されていて、「いらっしゃいませ」と深々とおじぎをされ、会社の受付のようで驚きました。

4階は3階と違って落ち着いた雰囲気で、ここには「ビジネス支援センター」が併設されていて中小企業の経営者や創業志望者を支援する拠点として公立図書館では全国初の取り組みとなっています。
図書館とは別の管理ですが、連携してビジネス関連図書も置いてあり、専門家による相談もおこなっています。
ジュニアビジネススクールは、小中学生を対象に夏休み、冬休みを利用して経済の学習や社会人になるために必要なことを学習します。その一つとして公立と私立の学校に進学した場合の経済的負担の違いなども学習するそうです。

 

2階の観光・郷土資料センター

この建物の2階は観光・郷土情報センター、5・6階はホールや会議室となっていて全体が市民交流・情報発信の場として広く市民に利用されていることがよくわかりました。

 練馬区でも図書館のあり方については検討されていて、区民からも蔵書や職員の対応について様々な意見が出されていますが、これからは地域との交流や幅広い学習の場としても位置づけていくことが必要だと改めて感じました。