災害廃棄物処理場の視察報告

清掃リサイクル等特別委員会で宮城県仙台市、女川町、石巻市に災害廃棄物の現状を視察してきました。

仙台市役所にて

● 仙台市
仙台市は最初から県内処理を目指し、それががいち早く進み135万t発生したがれきの処理も最終処分まで含めて市内での完全処理が来年に終わる目途が立ったそうです。
これは他の自治体では庁舎自体が被災して、職員も亡くなったりしましたが、仙台では被害が少なく、市内の産廃業者を把握している職員もいたことで対応が早くできたとのことです。
がれき撤去の現場で可燃物・不燃物・資源物の3種類に分別し、海岸に設置した3ヶ所の搬入場でさらに10品目以上に分別しています。がれきの50%以上のリサイクルを目指し、残りは各場内の仮設焼却炉で焼却するか埋め立てます。

最初から分別していればリサイクルが楽で、リサイクル業者にその場で見てもらえ、埋め立てが減る、と判断したことで最初は遅れたが、トータルで見て早かったそうです。

 ●女川町
3月にも視察していますが、その時よりかなりがれきの山は
減りました。現在全体量は約30万トンで東京に搬出する
可燃物は約6万トン。

手選別で取り除かれたアスベスト付着の恐れのある建材

県が自治体任せにしてしまったこともありますが、東京へ搬出するために1度分別したものをまたわざわざ木くず・プラスチック・紙類を混ぜる手間や運搬の費用を考えると、まずは地域での処理計画をすすめるべきだと思います。

今後の計画について質問したところ、山を3ヶ所切り開いて宅地や公共施設に、海岸地区は高さを4メートルに埋め立てて、加工工場を再建するそうです。

また東京の清掃工場の排ガスから相次いでアスベストが検出された問題については、現地では徹底してアスベストが付着していそうながれきは取り除いていること、空間測定値も通常と変わらないので災害廃棄物が原因とは考えられないとのことでした。焼却の際に空気を送り込むので大気中に含まれるアスベストが出てしまったことも考えられるとの説明ですが、原因がはっきりしない状況を作ってしまうことは問題です。

「わからないからなかったことに」しないでしっかり調査を続けるよう区にも要望していきます。

 ●石巻市

石巻ブロックはプロポーザル方式により9社の共同体で処理をおこなっています。災害廃棄物の総量は県内で最も多く、約300万トン。現在5基の仮設焼却炉が本格稼働しています。2014年度には完全に処理が終了するとのことです。がれきの山も少なく、ほとんど分別されていました。

大型仮設焼却炉

海岸の平地が広いのでとにかく処理施設もかなり大掛かりで、大手の建設会社や産廃業者の看板が目立っていましたが、現地雇用も1000人以上とのことです。

 仙台市は現地の見学はなく説明を聞いただけでしたが、3ヶ所を訪問して今回の地震による津波の被害は想定外だったとは言え、国が廃棄物の処理を自治体任せにしたことがバラバラな処理計画になってしまった原因だったと思います。復興予算もどこにどのように使われているのかきちんと公表するべきです。