種苗法改定について~3月予算委員会の報告~

第一回定例区議会の予算委員会で、種苗法(しゅびょうほう)改定について質問をしたので報告します。

1978年に制定された種苗法の改定案が、先月3日に閣議決定されました。
新型コロナウイルス感染症の話題に紛れて、閣議決定されたことが大きく報道されませんでした。
国会で可決されれば、2021年4月施行されることになります。

改定の理由は「日本国内で開発された品種の海外流出防止のため」です。
これまでも指定されたいくつかの品種については自家採取、販売に制限がありましたが、今回の改定では登録された品種についてはすべて禁止となります。
自家採取、増殖して販売するには許諾が必要となり、許諾料も払うことになります。

改定の問題点としては
・国内農家の自家増殖(自家採種)を原則禁止にしていくことで、種子への権利が制限される。
・種子への権利が制限されることで、農業・農作物の多様性と持続可能な農業への道を阻害する
ことがあげられています。

23区で最も農地が多い練馬区として、もし種苗法が改正された場合、区内農業への影響はあるのか、予算委員会で質問しました。これに対し答弁は

「登録制度はこれまでもあったが、JAや種苗業者から購入している事例がほとんどと聞いている。直ちに影響が生じることはないと考える。許諾取得に手間がかかるといった点は生じるが、取得すればできるので特に大きな問題は生じないと考えている。JAが団体として許可をとり、簡略化を図るという話もある。」
とのことです。

2018年4月には米、麦、大豆などの主要作物について優良な種子の安定的な生産と普及のために国が責任をもつという種子法が廃止されました。
「現在の種子法が民間企業の投資意欲を阻害する。対等な競争ができない」という理由からです。
廃止されることで一部の企業に独占されて安全な種子が生産されなくなるのでは、と問題になっています。
種子法の廃止、さらに種苗法の改定で、その土地に合った優良な種の生産を古代から受け継いできた農家の存続が危ぶまれています。

私たちの食生活に欠かせない農産物。そしてめざす地産地消。

すでに販売されている遺伝子組み換え食品に加え、芽の出ないじゃがいもや高リコピンのトマトなどのゲノム食品が出回るようになることで、食の安全が危機にさらされています。
安全性について十分な検証がされず情報がない中で、私たちが食べない選択をしたくても情報が来なければ選ぶともできません。

「種はいのちの源」と言われます。
安全で優良な種と農業従事者を守る立場の区として、今後の状況を把握して情報を公開することを求めました。