石神井図書館への指定管理者制度導入に反対

28日、第二回区議会定例会が終了しました。

今定例会で提出された「区立石神井図書館に指定管理者制度を導入する議案」に反対の討論をしました。
区内12館の区立図書館のうち、既に9館に指定管理者制度が導入されています。
残りの光が丘、石神井、練馬の3館は直営を残すと言い続けてきた区ですが、今回石神井、続けて練馬にも制度導入を決めています。

以下討論の内容です。


区はこれまで「区民サービスの向上と効率的な図書館運営」を目的に9館に指定管理者制度を導入してきました。私たちは「公立の図書館は、教育機関として自立性と専門性が求められ、区民に一番身近な情報拠点として、教育委員会が区民との協働で運営していくべき施設であり、指定管理者制度の導入にはなじまない」という理由から導入に反対をしてきました。

光が丘、石神井、練馬の3館については直営体制を崩すことなく、光が丘は中央図書館的機能、石神井は指定管理事業者に対する指導のための職員研修、マニュアル作成、練馬は非常勤専門員によるレファレンスとそれぞれのもつ役割を担ってきました。

特に石神井図書館については「区の職員が窓口から全部経験しないと、業者に対する指導等も行き届かないため、職員が一から全部やっていく体制をとった」と言っていたはずです。

ところが今回、中央的機能を持つ光が丘図書館で研修もノウハウもできていることを理由に、石神井図書館から職員研修の場を手放すことにしてしまいました。

また石神井図書館への指定管理者制度導入、さらに今後の練馬図書館への導入にあたっては、これまで維持してきた3館直営の方針を崩す必要性が明確に示されていません。

2013年6月に「練馬区図書館ビジョン」が策定され、5年目となった今月、ビジョンの項目別取組状況を取りまとめたものが報告されました。

「これからの図書館サービスの方向性」としての4つの柱である「情報発信の充実」「学校および子育て家庭などへの支援」「図書館の資料や人材の活用」「区民や地域との協働」については引き続き事業の充実・強化を図る、としています。

ビジョンでは図書館が教育だけでなく子ども・若者支援、生涯学習、地域文化、障がい者・高齢者福祉など区民の生活に関わるあらゆる分野における情報収集や課題解決の場であることが示されています。また、区民や地域との協働として「図書館事業への参加・参画場面の拡大」も明確に掲げられています。つまり図書館は区民の生活に最も密着した公共施設のひとつであり、一人ひとりの思想や健康など、個人の内面にも深く関わるため公平・公正、安定性、継続性が求められます。

そのためには事業者に丸投げするのではなく、区が責任を持って専門性のある職員を育成していくことが必要です。

また、光が丘図書館に機能を集中させていく体制が整っているのかも疑問です。光が丘図書館を「中央的機能」という中途半端な呼び方をしていますが、今後光が丘図書館をどうしていくのか、きちんと「中央図書館」として位置付けていくのかも曖昧です。

指定管理者制度ありきで「できるところからすすめよう」ではなく、光が丘図書館を中心としてこれから区の図書館をどうしていくのか区民とともに将来像を描き、明確にした上で、体制の構築を図るべきです。

今「ニューヨーク公共図書館」という映画が話題になっています。
人種や貧困、障がい、教育や情報格差など差別されることなく、すべての市民に開かれた居場所であり、情報収集や活動の場です。民主主義を実現できる公共図書館です。規模こそ違っても図書館がめざすべき姿ではないでしょうか。

区民の知る権利を保障し、地域に根差した情報拠点であるべき公立図書館に指定管理者制度を導入することに反対し、区民との協働施設として充実していくことを求めます。