子育て支援は子どもの視点で
18日、世田谷区経堂の生活クラブ館で「子育て支援フォーラム2013」
~地域に生まれる子育て支援のカタチ~
が開催されました。
今回は「インクルーシブな地域社会」を構築していく中での子育て支援のあり方について考える会です。
1部の基調講演は㈱日本総合研究所の池本美香さんから「親の参画で保育の質を高める~諸外国の動向をふまえて~」。
子ども・子育て支援が議論される背景として、
・超高齢化社会
・支え手としての女性の就業促進への期待
・少子化、児童虐待、子どもの貧困、子どもの孤独感
・国の財政難
特に日本は児童虐待がここ数年急増しています。また、子どもの貧困率(ひとり親家庭)や「孤独を感じる」と答えた子どもの数は諸外国から群を抜いています。
このような現状を踏まえて子ども・子育て新制度が成立、子ども・子育て会議が開催されてニーズ調査がおこなわれています。
2015年度に向けて地域での支援事業計画が策定されますが、大切なのは「子どもにとってどうなのか」ということです。
もちろん、待機児童解消が大前提ですが、保育の質、働き方の見直し、子どもの権利の視点に立った議論が必要です。
保育の質を高める工夫としての先進諸国の動向では「親の参画」があげられています。
運営委員会への親の参加によって、親の意向に合った保育が実現し、満足度が高いそうです。
また、親もボランティアで保育にかかわっていったり、いつでも保育所に親が出入りできるルールにより保育の民主化が実現している国が多く見られます。
イタリアでは社会的協同組合による保育所で親が参画しています。
しかし、日本は諸外国と比較すると労働時間もトルコに次いで2位で、保育に参画する時間的余裕がない働き方にも問題があります。
忙しいから安心して子どもを預けられるならあとはお任せしたい、と思われる保護者の方が多いかもしれませんが、「安心して」は親がかかわることで得られるものでもあると思います。 だからこそワークライフバランスについても重要な課題として取り上げなければなりません。
第二部は、実際に現場で活動している3NPO団体によるパネルディスカッションで、活動報告と国の新制度での課題について話がありました。
3団体とも地域で幅広く保育所や学童クラブで子育て支援に取り組んでいることがよくわかり、現場の声が聞けました。
学童保育については保育所の待機児童問題の陰に隠れていますが、実は練馬区でも学童クラブの待機児童も深刻です。新制度の中では1年生から6年生まですべての児童を対象におこなわれる「全児童対策」がすすめられ、練馬区でも検討されていますが、後になって「これではまずかった」ということのないようにして欲しい、との意見がありました。
練馬区の子ども・子育て会議は15人の委員による話し合いで、開催回数も少ない状況ですからここだけで十分な議論は望めません。地域に合った子育て支援事業計画策定は、より広く現場の声を聞くこと、子どもの権利の立場に立った議論の場が必要だと思います。