「食べることは生きること」その2

2日目は「食の安全」についてです。

天笠啓祐さんの講義は輸入食品・食品添加物・遺伝子組み換え食品等の危険性についてでした。
輸入食品には農薬や遺伝子組み換えなど多くの問題を含んでいるとのこと。
例えばホルモン剤、抗生物質を投与して半分の期間で大きさが倍になる食肉、放射線照射で芽が出にくくなるジャガイモ、除草剤耐性大豆、殺虫性トウモロコシ、特に殺虫性トウモロコシは虫が食べると死ぬため、作物自体が農薬として登録されているのです。

食品への放射線照射は日本では食品衛生法でまだ認められていませんが、こういった食品が癌や遺伝障害を引き起こすことが報告されていて、TPP加盟後には輸入することになるのでは、と危惧しています。
さらに放射能汚染食品については「これ以下なら安全」というしきい値はないと考え、内部被曝の危険性を指摘し、特に子ども・乳児・妊婦についてはできるだけ基準値を低くするべきだと言っています。
これに食品添加物が加わると、相加・相乗作用により、遺伝子を傷つける頻度が加速するなどの影響が重なるとのことです。

健康情報センターの里見宏さんからは「牛のレバ刺しに塩素殺菌・放射線照射することで禁止撤回できるか」という話を基にその危険性や更には放射性物質についての話がありました。
人気のレバ刺し(私は好きではありませんが)が禁止になって塩素殺菌と放射線照射で菌がなくなるのでは、と現在調査中だそうです。というかこれを機に「照射食品」を原発利用の例として市民に知らしめようと必死のようです。
しかし塩素殺菌では中まで殺菌はできないこと、放射線照射は発ガン物質ができること、臭いが出て、質を低下させることなどが報告されていています。
そんなにしてまでレバ刺しって食べたいものなのか私には理解できませんが、とにかく危険だということは明らかです。

塩素殺菌は学校給食での野菜や果物も基本は洗浄ですが、必要であれば塩素殺菌できるとしているそうです。
とにかく殺菌ということで釜などの調理器具も塩素消毒という過剰防衛がおきている学校もあるとのことで、逆に現場で働く人や子どもたちの健康が心配だと指摘しました。
また、天笠さんと同様に、放射性物質についても安全性の保障はない、基準値はどうしても食べざるを得ない人の我慢量だと言います。
学校給食は「教育」であるから「食の安全」の基本に従い、原発の放射性物質を排除した給食を作ることや、なぜ食べたらいけないかを教材化する、子どもに間違ったことを教えない、など今すぐに学校現場で実行して欲しいと思うことばかりでした。

最後は東京大学教授の鈴木宣弘さんから「TPPと私たちのくらし・食生活」について聞きました。
鈴木さんは1時間半、弾丸のように休みなく話し、こちらも息をつく間もないくらいでした。
TPPについて「失うものは最大で得るものが最小の史上最悪の選択肢」と話します。だから今何としても食い止めなければ、と。
TPPに加盟することで主権がアメリカに移り、日本の国民健康保険や医療、農業、雇用が失われると具体例で説明してくれました。食品についても遺伝子組み換え食品の表示の取りやめやポストハーベスト農薬の残留基準も日本の60倍から80倍も緩和されてしまう可能性があるとのことです。
そこで今私たちに必要なことは「自分たちの食は自分たちが守る」ことです。

スイスで小学生の子が安い卵ではなく1個80円もする国産の卵を買っていてその理由を聞いたら「これを買うことで農家の皆さんの生活が支えられる。そのおかげで私たちの生活が成り立つのだから当たり前でしょ」と簡単に答えたそうです。

日本でも農家、農協、生協、消費者等との連携を強化して、安さだけを追求せず、安全なものを食べるという意識を共有していくことが必要だと聞き、私たちがこれまで政策として取り上げてきた「食の安全」「食べることは生きること」が今こそ必要なのだと思いました。