このイベントは1994年から始まり、今年はそのパート18「私のあした」が上演されました。
弁護士自らが大人役を演じ、子ども役は公募で集まった中・高・大学生です。
このイベントを続ける中で、子どもの問題に関わってきた弁護士をはじめ、おおぜいの声で子どものシェルター「カリヨン子どもの家」が2004年に設立され、2008年には「社会福祉法人カリヨン子どもセンター」となりました。
虐待やいじめから緊急避難が必要な子どもたちをここで一時的に受け入れます。職員とボランティアが子どもたちの生活を支えていますが、さらに一人ひとりに「子ども担当弁護士」がつき、傷ついた子どもたちの心にしっかりと寄り添っています。
今回の上演は、このカリヨン子どもの家に逃れてきた17歳の女の子を中心に、センターの子どもたちが自立していくことの困難さと周りの大人たちの支援を描いた内容でした。
カリヨンでは自立をめざす15歳以上の子どものための自立支援ホームも開設しています。
この女の子はホームで生活をしながら仕事も始めますが、うまく社会に飛び込むことができず、ますます心が閉ざされていき、明日への希望を失っていきます。
生活者ネットワークは昨年、カリヨン子どもセンター理事の前田信一さんによる学習会「虐待を受けたこどもたちどうやって『大人』になるの」を開催しました。また、岩手県盛岡市にある児童養護施設「みちのくみどり学園」での子どもたちの生活をドキュメントにした映画「葦牙(あしかび)」の上映会も開催し、子どもの人権について考えてきました。
子どもにはひとりの人間としてその存在を受け止め、成長をいつでも見守って応援してくれる人が必要です。
どの場でも、虐待を受けて施設に入ってきた子どもは他人とのコミュニケーションがうまくいかず、更に弱い者への暴力、あるいは自殺に至ってしまうことも少なくないことが報告されています。また、自立しようと社会に出てもうまくいかず、再び施設に助けを求めてくる若者もいること、その法的支援がまだ少ないこともわかりました。
今回の劇を鑑賞してこれまでの学習会の内容と重なり、明日へはばたく翼をもがれた子どもたちが傷を癒して巣立っていかれる場所がもっと必要で、社会全体で見守っていくことが大切だと感じています。そして今子どもたちを支援している施設の職員、弁護士、ボランティアの方々の活動にも協力していきたいと思います。