多様な性・多様な生き方~LGBTQってなんだろう~

8月5日、練馬区男女共同参画課の人権セミナーに参加しました。

今回のテーマは「多様な性・多様な生き方 ~LGBTQってなんだろう~」で、講師は小学校の非常勤講師の鈴木茂義さん。
鈴木さんはご自身がLGBTQの当事者であることを公表されています。

カミングアウトするまで誰にも言えずごまかしてきたことのしんどさ、そして友達や一番ハードルの高かった家族にカミングアウトしたこと、教員という立場でどう子どもたちに接してきたか、など当事者としてご自身の体験を交えながら多様性が尊重される社会とはどうあったらよいのか、どんな支援が必要なのかお話ししてくださいました。

この世の中ですでに多様な背景を持った人たちが共に暮らしている「社会の中の多様性」と、私たちひとり一人の中にも存在している「私の中の多様性」(自分の中で色々な側面を持っている「多層性」)がある。

この多層性には見えやすいものと見えにくいものがあって

見えやすい・・見た目の性別、容姿、身体的な障がいがあるかないかなど

見えにくい・・出身地、価値観、発達の違い

LGBTQで言えば自分自身の性別をどのように自認しているか・・性自認、恋愛や性愛の方向がどこに行くのか、性的指向。個人の中の多様性ということで自分事として捉えて欲しい。

鈴木さんが教員になり、学校では子どもたちには「素直であれ」「誠実であれ」と言いながら、自分がそうでないという自己矛盾に悩んだけれども怖くてカミングアウトできない。
そのような時に「OUT IN JAPAN(カミングアウト・フォト・プロジェクト)」に出会い、子どもたちの役に立つかもしれないと参加。

写真が出た後、保護者の反応はネガティブなものはほとんどなかった。
「あなたは学校の先生として十分仕事をしてくれたので問題にならない」と言ってくれた。

講演会をやっていてよく聞かれるのは「どうしたら子どもに相談してもらえるか。」
鈴木さん:子どもが廊下を歩くから私も歩く、子どもに時間を守って欲しいから自分も守る、同じように子どもに相談してもらうために普段から自分のことを子どもに相談するようにしている。大人が子どもに相談する姿を見せることで子どもが相談するハードルが下がるかもしれないと思う。

授業で「LGBTの人はかわいそう 頑張ってください」という感想を書いてくれたことがあった。確かにしんどいことはあったけれど、人と違うことはかわいそうな子ではないと思っている。色々な人が存在して、誰がかわいそうで誰がかわいそうじゃない、という判断をしなくていい社会にしたい。

当事者の中にはカミングアウトしたくない、する必要がないと色々な考え方をもっている。

どちらにしてもその決断と行動が尊重されることが大事であり、人の数だけ心地の良い性の在り方がある。

☆東京都の作成の動画「多様な性があること、知っていますか? | 東京動画 (tokyodouga.jp)
の一部を紹介してくださいました。

最近ではLGBTQではなくSOGIという言葉が使われるようになった。LGBTQの人たちだけが特別なのではなく全ての人に存在するのがSOGI=性的指向と性自認。

周りにどういった人たちがいるか、周りにどういう社会制度、法律があるかによって見え方がかわってくる。LGBTQ当事者個人だけの問題にするのではなく、周りの人たちや制度を含めて考えていく必要がある。

2021年の渋谷区・虹色ダイバーシティ全国パートナーシップ制度共同調査によると7月1日時点で導入しているのは110自治体、6月30日時点での交付件数は2018件。東京都は一部で制度がある。(残念ながら練馬区はまだです。東京都は検討をすすめるとしています。)

◆学校での課題
こどもの声
・クラスの中でおかま、キモイと言われ嫌な思いをした。
・友達同士のうわさ話の時に自分のこともバレてしまったのでは、と心配になった
◆カミングアウトされたら
その可能性は誰にでもある。鈴木さんが心がけている言葉
「そうだったんだ」「そうなんだね」は使いやすい言葉
「教えてくれてありがとう」
「私に伝えてくれてやって欲しいことはある?」
◆外部機関にできること
居場所が少しずつ増えてきた。
池袋「にじーず」、交流スペース「Friend SHIP よこはま」、NPO法人「LGBTの家族と友人をつなぐ会」など。
鈴木さんは「お互いに感じていることを相手を傷つけないように伝え合えることが大切。
小児科医の熊谷晉一郎さんの「社会の中で色々な違いを持った人たちが豊かな人生を考えた時に考える「真の自立」とは依存先を増やすこと。自分一人で考えることも大切だが、安心安全な人、居場所を増やし、頼りながら生きていくことが大切。」という言葉を紹介してくださいました。

練馬区の中にさらに増やせるよう皆さんと一緒にアクションを おこしていきたい。」と鈴木さんから投げかけがありました。

今回のセミナーはとても内容の濃い企画でした。
一人ひとり違った性的指向があって当たり前、という意識が大人も子どもも自然にもてるような社会に向けて、ぜひ今後も人権セミナーや学校での学習で取り組んで欲しいです。