市民協働で完成!むさしのエコreゾートと武蔵野クリーンセンターを見学
11月29日、練馬・生活者ネットワークの環境部会で武蔵野クリーンセンター、併設で今年11月にオープンしたばかりの「むさしのエコreゾート(リゾート)」を見学しました。
武蔵野クリーンセンター
周りに高い建物がなく、芝生広場や並木に囲まれた空間で「ごみ焼却施設のコンクリートの塊」というイメージを感じさせないような街に調和した建物です。
武蔵野の雑木林をイメージしたデザインだそうで、2017年度グッドデザイン賞を受賞しています。
1984年から市のごみ処理施設として可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、有害ごみの処理を始めたクリーンセンターは2017年に新しく生まれ変わりました。
武蔵野市は2004年から全戸家庭ごみの有料化、戸別収集が始まっています。
整備運営を請け負っている荏原製作所の職員の方から詳しい説明を受けながら、センター内を見学。ガラス張りでごみの搬入から焼却されて灰になるまでの各作業過程が見られるようになっています。
焼却炉は120tが2炉で、127,000人の人口にしては小さめで、以前は150tが3炉ありましたが、市民一人当たりが出すごみの量が600グラムくらいまで減ってきているので炉も小さくできたそうです。
粗大ごみもここで受けれているので、家具などは別回収でリサイクルもしていますが、センターに搬入されたものについては金属などを取り外し、可燃ごみで燃やしています。これにはちょっと驚きました。
私が注目したのは排ガスの規制値は国の基準よりはるかに低い自主規制値を市民とともに設定したことです。
小型家電などの有害ごみは市が無料で配布している赤い袋に入れて出します。
特にリチウムイオン電池やスプレー缶は以前に発火したことがあるので注意を呼びかけているそうです。
また、今どきの新しい清掃工場はそのほとんどが発電設備も設置していますが、ここでも焼却時に発生する高温・高圧の蒸気を利用して、2炉合計で1時間に最大2,650kW発電できる設備があります。さらにはその蒸気を冷やして水に戻し、再使用しています。
もちろん、発電が本来の目的ではないので「どんどん燃やしてたくさん発電」となると本末転倒ですが、エネルギーを効率よく回収し、再利用することは環境への配慮にもなります。
発電した電気や蒸気は隣接の市役所、コミュニティセンター、総合体育館に供給されています。
災害時や夏場の電力不足時にはガス供給と併用して発電し、避難拠点となるこれらの施設に電力供給できるようになっています。
時間内ならいつでも自由に見学できるので、私たちが見学している時にも2人の方が熱心に見学されていました。
この日は見学はできませんでしたが、屋上には市民から集めた生ごみでつくったたい肥を利用した菜園「ベジタブルガーデン」と廃材を利用した「リサイクルガーデン」があり、カモの親子も来るそうです。
生ごみを提供する団体は最初4人から始まり、今では30人に増えているそうです。
トイレの水はろ過した雨水、手洗いの蛇口の中には小さな水力発電機が入っていて、センサーの電力として使われています。
外観も中の設備も環境に配慮した工夫がされていて、市民に開かれた施設になっているのは、市民参加だからこそできたのですね。
むさしのエコreゾート(リゾート)
11月8日にオープンしたばかりの環境啓発施設で、建て替える前の旧クリーンセンターの一部をそのまま残し、リノベーションしてつくられました。
この施設は市の直営で、案内してくださったのも環境政策課の方で施設のスタッフでもあります。
整備にあたっては2017年から3年間、市民や市民団体、市の環境課、学校、事業者などによる「検討市民会議」が開かれ、議論を重ねてできた施設です。
今回の見学にはこの時関わった市民団体の方も同行してくださいました。
旧施設をそのまま生かし、広々した空間に多摩産材をふんだんに使い、子どもたちが1日楽しめる廃材を利用する工作や市民団体のアピール、体験学習、会議室、読書、調理などの設備があります。一部はまだ利用できませんが、早速お子さんたちが遊びに来ていました。
オープンしたてなので、これから市民に広まり大勢訪れることと思います。
東京の区部の清掃事業は各区が分担金を出し合い「東京二十三区清掃一部事務組合」によって一体的に清掃工場の整備をしているため、清掃工場のある区とない区があります。
練馬区には2か所あり、練馬清掃工場は5年前に新しくなり、体験しながら環境学習もできる場になっています。光が丘清掃工場は建て替え中でほぼ完成しています。
建て替えにあたり、住民説明会が開催され、意見を聞く場はありますが「市民参加」と言えるものではないところが課題でもあります。
練馬区としてはごみ減量に取り組み、リサイクルも他区に先駆けて取り組んでいると思います。
リサイクルセンターも4か所あり(1か所は高速道路の高架下のため、日当たりも悪く、危険な場所であることから整備には適さない、と地域住民の反対の声があります)、環境学習の企画も活発におこなわれています。
自分たちが出すごみがどう処理されているのかを知ることで、街中にある清掃工場がどうあるべきか、どうあって欲しいか、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。