戦争のない世界を子どもたちに

広島、長崎に原爆が投下、そして終戦から71年になります。9条アピール代理人リサイズ

国民は「日本が勝つ」と信じ、「お国のために」と戦い、戦死者は約500万人。
戦争が人と人との殺し合いであること、また唯一の被爆国として二度と戦争をおこしてはならないと誓い、平和を訴えてきました。

しかし、2年前には集団的自衛権の行使容認、昨年9月には安保法の成立、と再び武器を持って戦うことができる日本に戻ろうとしています。

11日、京都女子大法学部教授の市川ひろみさんから「経済的徴兵ーもはや他人事ではないアメリカの現状」についてお話を伺いました。
これからアメリカ軍と一緒に戦うことになろうとしている今、アメリカ軍の現状を知っておく必要があり、多くの人に知ってもらうことが目的です。

アメリカ軍による「対テロ戦争」で2001年から派遣された兵士は250万人で、そのうち複数回派遣されたのが約80万人。
「貧困徴兵」や「経済的徴兵」と言われ、兵士志願の主な理由が貧困で、将来に希望が持てない環境におかれ、学費の免除や医療保険が支給されることです。
貧困格差が広がり、奨学金返済に困窮する若者が激増している日本でも起こりうることです。

また、対テロの戦場では、戦闘員と民間人、大人と子ども、などの区別がつかない中で、判断が個々の兵士に任されている一方で、行動規範には「民間人を殺してはいけない」と書かれていて責任を追及されることで精神的に追い詰められていきます。

2015年7月現在でアメリカ軍の戦死者は6855人、負傷者は約52000人で、現地の人たちの死者はイラクで15~17万人、アフガニスタンでは25000人にも及んでいます。

女性兵士の志願も増えていて、特に「対テロ戦争」に派兵されたうちの3万人以上がシングル・マザーだそうです。そして軍隊内での性的な嫌がらせも多く、イラク、アフガニスタンへの派遣中に20~40%の女性が性的トラウマを受けたと報告されています。

精神的、肉体的に傷を負った帰還兵は社会生活への適応が困難になったり、自殺や薬物過剰摂取、アルコール依存などに追い込まれることも多く、帰還後に死亡した兵士は5千人とも言われています。

派遣された兵士の配偶者による子どもへの虐待は兵士でない場合の3倍にも増加している、あるいは帰還した家族(配偶者)から受ける配偶者への暴力、それを見た子どものトラウマなど、本人だけではなく、家族も一緒に大きな負担を負っています。

「兵士はコマでしかない」

兵士本人の人権はもちろん、子どもが自爆テロにさせられたり、武器を持たされ人殺しを強要される、貧困、虐待、ネグレクトなど「子どもの権利」の視点からも世界中で「戦争はNO!」と言い続けないといけないと思います。

今の私たちが先の戦前と違うところは、このような貴重なお話を聞く機会もありますし、様々な情報を受け取る機会もあることです。だからこそ多くの人に知ってもらい、広めることが大切だということを会場の皆で共有しました。

人の命の大切さを知り、戦争がもたらす取り返しのつかない結果も知っている私たちは今なら止めることができるはずです。止めなければなりません。