広げよう!子どもの権利条約キャンペーン
4月22日、広げよう!子どもの権利条約キャンペーン ローンチイベント院内集会「子どもの権利条約を普及・実現し、子どもに対する暴力をなくす~国連採択30年、日本批准25年、第4回・第5回国連審査を受けて~」が衆議院第二議員会館で開催されました。
会場は満席で別室のサテライト会場で参加しました。
「広げよう!子どもの権利条約キャンペーン」は、今年で国連子どもの権利条約が採択されて30年、日本が批准して25年という節目であるこの日に、日本での子どもの権利の実現・普及をめざして発足しました。
キャンペーンの期間は2019年4月22日~2020年4月21日とし、当面は2022年4月までの3年間を想定しています。
設立の背景には、子どもを取り巻く社会や経済環境が厳しくなる中、虐待や貧困、いじめ、不登校、自殺など、条約が掲げる子どもの最善の利益の保障のための「生存」「発達」「保護」「参加」の権利の実現にまだ課題が残っていることが示されています。
基調講演は国連子どもの権利委員会委員の大谷美紀子さんから「子どもの権利条約と委員会による実施状況の審査」についての報告でした。
大谷さんは2017年に日本人として初めて子どもの権利委員会委員として18人のうちのひとりに選ばれました。
委員会では5年ごとに各国の子どもの権利条約の実施状況をチェックし見直しをしています。世界中で子どもたちの人権が守られるようにどう実施しているかを審査する機関です。
日本は前回の審査から9年経っているそうです。
以下審査の結果です。日本が委員会から受けた勧告について説明が記載されています。
大谷さんからのメッセージ
「子どもは人権を有する一人の人間として権利があること」「尊厳をもって扱われなければならないこと」が条約の要ですが、世界中に本当の意味で浸透していません。
女性が長い間言われてきたことと同じように、子どもも「子どものくせに口を出すな」「生意気言うな」「知らないくせに」と言われる中で、0歳から18歳未満の当事者がどれだけ自分の権利を知って声を上げられるか。私たち大人が子どもの権利を知って推進していかなければいけません。
子どもに関するあらゆる問題についてのイベントに子どもの意見を聞くこと、子どものことを決める時に子どもの声を聞かずに決めない。
子どもの人権というレンズを通して問題に光を当てるよう心がけています。みなさんもぜひ一緒にやりましょう!
またフリー・ザ・チルドレン・ジャパンからは、子どもたちからの提言として世田谷区の中学1年生、2年生の2人から発表がありました。
中1の坂口さんは自分の母子手帳の最後に子どもの権利が載ってることに気が付いたけれども、2011年から載せなくなっていることがわかり、区長に話したところ来年度から載せてくれることになったそうです。ちなみに世田谷区は子ども条例があります。
日本では「母子手帳はお母さんのもの」という印象が強いですが、家族みんなのものとして、ここに子どもの権利条約を書くことでみんなで知ることを望んでいます。
中2の中村さんからは、子どもの権利条約は内容が難しくてわかりにくい。内容を聞いても日本は平和だという先入観に捉われ、自分たちには必要ないし関係ないと思っている子どもたちが大半だと思う。子どもにもわかりやすい教材を使うことやワークショップをすべての学校でやって欲しい。
また、親や学校、塾の先生たち大人はいつも説教みたいに話すけれども子どもは却って萎縮してしまう。普通に話してくれれば自分たちで判断できる力を持っている。責めない方法でのアプローチを考えて欲しい。
先生の研修にも子どもの権利条約を入れて欲しい。
世田谷区では今年度から区内の中学校で月1回、「自由服の日」を設けているそうです。子どもたちが自由に選べ、考える時間があるということは子どもの考える力を信頼してくれている証拠だと中村さんは話します。
「子どもの権利の視点からあらゆる暴力をなくすために私たちがすべきこと」についてのパネルディスカッションでは
SDGs 子どもへの暴力をやめる
子どもの自殺 sosをキャッチする snsを活用
虐待の早期発見早期対応 スクールソーシャルワーカーの充実
体罰禁止の徹底 ガイドライン作成
いじめ 具体的な取組
など、今後の取組について各機関から説明がありました。
まとめとして、この9年間でできなかったこと、さらにすすめていくことについて政府、議員、市民が対話によって知恵を出し合っていくことが大切。
「子どもにも知る権利があること」「それは暴力、だからいやだ、と言える権利があること」を子ども自身が知ること。
(これはCAPなどでも取り組んでいますが、さらに幅広く伝えていく)
そして24時間365日子ども自身がかけられる相談ダイヤルが必要。
何より子どもへの暴力をなくす行動計画の策定には、子どもの声を聞くこと。
24時間365日の相談ダイヤルや練馬区のホームページのトップに子どもがかけられるようわかりやすく「こどもそうだん」などのようなボタンを作成して欲しいと要望していますが、未だにありません。
でも言い続けていることがここでも取り上げられて「やっぱり必要だよね」とあらためて確認できました。
最後にこのキャンペーンの共同代表 荒牧重人さん、喜多明人さん、甲斐田万智子さんからキャンペーン開始宣言がありました。
子どもも大人も子どもの権利条約を知らないと、この条約が実現したことにならない。
子どもの最善の利益をキーワードに子どもにやさしい社会をつくっていきたい。
開始宣言