委員会視察報告①京都地域包括ケア推進機構
医療・高齢者等特別委員会で京都地域包括ケア推進機構と市立奈良病院の視察をしました。
京都地域包括ケア推進機構「認知症総合対策推進プロジェクト」の取組について
高齢者が介護や療養が必要になっても、地域で関わり
を持ちながら、自分の意思で生活の場を選択でき、個人の尊厳が尊重される地域包括ケアシステムの実現に向けて、医療・介護・福祉の連携体制を京都府が先導して進め、市区町村を支援しています。
京都地域包括ケア推進機構はオール京都体制で取組む「京都式地域包括ケアシステム」の実現に向けて2011年に設立されました。
機構は、府内の医療や福祉等の各専門分野に携わる39団体で構成されていて、代表幹事は京都府知事、京都市長、京都府社会福祉協議会会長、京都府医師会会長です。
事務局体制は、府の健康福祉部の部長級が事務局長を担い、高齢者支援課の地域包括ケア担当課長が事務局次長を担当し、医師会館に常駐しています。
機構では在宅療養、認知症対策をはじめ看取り対策まで7つのプロジェクトに取り組み、府が提案することで市区町村が実施しやすくなります。
ただし、あくまで各団体が主動であり、行政が先導することはないとのことです。
注目したのは「在宅療養あんしん病院登録システム」と、認知症総合対策の「京都式オレンジプラン」です。
●在宅療養あんしん病院登録システム
府内在住65歳以上の高齢者で、在宅療養(定期的に通院)している人が、かかりつけ医を通して病院を3ヶ所まで選び事前登録しておくことができます。
これによって体調が悪くなったときに、早期入院、早期治療ができ、早期退院へ、と病院と在宅をつなげる全国初のシステムです。
現在136の病院が指定病院となり、登録者は約8000人です。
退院に向けては病院の地域連携担当者を中心にかかりつけ医を含む在宅チームと連携していて、あくまで在宅療養を基本としたシステムです。
病院が参画してくれるかどうかが難問だったそうですが、医師会のはたらきかけが大きかったとのことです。
●認知症総合対策推進プロジェクト・京都式オレンジプラン
このプランの特徴は認知症当事者の目線をベースにプランが策定されています。
そしてプランの評価も当事者や家族が望む「10のアイメッセージ」を導入しています。
初期の人の居場所として認知症カフェ、若年性認知症では本人を呼んで当事者の声を専門職が聴くワーキンググループなどきめ細かな支援体制がつくられています。
さらには看取り対策プロジェクト。在宅療養の延長として、高齢者が自分の意の中で死を迎えられる看取り対策協議会が設置されています。
「住み慣れた地域で安心して暮らす」。これはどの自治体でも目標に掲げていることですが、京都市では当事者を真ん中において、その人の人権が尊重される切れ目のない様々な支援が周りにプログラミングされていることがわかりました。