「核の傷」を見て

先日の東京新聞で紹介された、医師であり内部被爆の実態を訴え続けている肥田舜太郎さんのドキュメンタリー映画「核の傷」を見ました。
肥田さんは自信も広島で被爆しながら、医師として95歳になった今も被爆治療にあたっています。

当時、直接被爆した人が次々と亡くなっていく中で、原爆が投下された数日以内に広島市内に救護や肉親探しに入った人たちは体がだるくなり、何もする気にならなくなってしまう病気(ブラブラ病)を発症していきました。しかし、その原因が肥田さんもわからず、周囲にはただのなまけ病だと言われ、苦しんだそうです。
それが内部被爆によるものだと知ったのは30年後だったとのこと。
また、アメリカは原爆投下直後から広島、長崎の被爆者の実態を調査し、人体に与える放射線量の限界値を決めていること、この研究についてはアメリカと日本の政府は隠し続けてきたことを明らかにしています。
そして戦後5、60年でガンが出てくるという内部被爆の脅威、体内に入ってしまった放射線は治療の方法がないことの怖さを話しています。

昨年の福島第一原発事故が起きた時、肥田さんは大変なことが起こる、広島と長崎の被爆者と同じ障害が起こるだろうと話し、政府の事実を隠そうとする対応が66年前と何ら変わりがないことをこの映画で訴えています。

この映画で核の利用を考えた人間の知恵の恐ろしさ、愚かさを見せられました。
ドイツの学者は「日本人は人権に対しておとなしすぎることが不思議だ」と言いますが、原爆と原発事故の被害者はどちらも「普通に生きていく」という人権を奪われました。
原爆と原発は別のものと考えるのは間違いであり、特に私たち日本人は原爆による被害をしっかりと理解し、「だからこそ原発はなくすべき」という考えを持たなければならないと思います。

今日5月5日こどもの日、日本の全ての原発の稼動が止まりました。