一般質問報告②都立高校入試における英語スピ―キングテスト実施は中止を

区役所10階ハーブガーデンの太陽光パネル前で

今定例会の一般質問で来年1月におこなわれる2023年度都立高校入学者選抜に導入される英語のスピーキングテスト「ESAT-J」について質問しました。

以下質問と答弁です。

《質問》

テストの実施は今年11月27日です。運営主体は東京都で、実施は民間事業者です。
都内全公立中学校3年生約8万人を対象とし、都立高校の受験を希望しない生徒も対象です。

このテストの問題点についてこれまでも指摘してきましたが、区は「スピーキングは英語4技能のひとつとして大切」との答えで、何が問題なのか把握しようとしませんでした。

受験制度を利用して約8万人の生徒の住所や電話番号、生年月日、顔写真などの個人情報が民間事業者に渡ること自体問題です。さらに受験できなかった生徒の採点方法に整合性が見られないこと、配慮が必要な生徒への特別措置など、細かい対応が公表されるたびに問題点が明らかになり、保護者は戸惑うばかりです。

このテストは、受験しなかった生徒と受験した生徒の得点が逆転してしまうケースも起こりうる採点方法で、1点差で合否を分ける入試の制度として成り立ちません。公平性に欠けるテストをわざわざ入試に導入する必要があるのでしょうか。

先月、受験生の保護者から都教育委員会に対して公開質問をしましたが、明確な答えを示していません。生徒や保護者への丁寧な説明もなく、他自治体ではよくわからないまま申し込みを促されている、という事例も聞いています。

Q:都から区の教育委員会に説明があったとのことですが、どこまで具体的な説明を受けているのでしょうか。また、それに対して何も疑問を持っていないのでしょうか。

ESAT-Jに反対の声を上げる保護者や教育関係者、区民が増え続け、中止を求めるアピール署名もこれまで9回提出されています。

Q:一番の被害者となるのは生徒たちです。全ての子どもの学ぶ権利が保障されるべき公立学校の受験において、公平公正さを欠くスピーキングテストの導入は反対です。都に中止を求めるべきですが、区の考えを伺います。

2年前、大学入試の共通テストに導入予定だった英語の民間試験が申し込み開始後に見送りになりました。同じことの繰り返しで生徒を振り回すことの無責任さを教育現場の立場でしっかり考えるべきです。


《区の答弁》

東京都が実施する英語スピーキングテストは、中学校で見に付けた「話す力」を客観的に評価するとともに、生徒の高校における学習につなぎ、中学校と高校における英語指導の充実を図ることを目的としています。
11月に実施するスピーキングテストの結果を調査書に記載することで、2月に行われる学力試験の得点と合わせて都立高校入試に活用するものです。
都は、平成30年度に入試スピーキング技能の評価を導入するための検討委員会を立ち上げ、令和元年度から3年度にはプレテストを行うなど、本格実施に向けた検証を積み重ねてきました。実施に当たっては、配慮が必要な生徒に対応するために、解答時間の延長や別室受験、点字版や拡大版の問題冊子の提供、漢字にルビをふる等の特別措置を行います。また、コロナ感染症のやむを得ない事情によりスピーキングテストを受けることができない生徒に対しても、2月に行われる入試の得点を踏まえ、当該生徒が不利にならないように取り扱うこととするなど、区教育委員会は、具体的な説明を受けています。

個人情報については、東京都と実施事業者の協定に基づき、必要な目的のみに使用され、テスト終了後は東京都個人用法の保護に関する条例等の法令に従い、適切に削除することとされています。

区は、練馬区教育振興基本計画において英語授業の充実を掲げており、これからの時代に求められる英語4技能の育成に努めています。英語の「読む」「書く」「聞く」という3技能だけでなく、生徒が身に付けた「話す」力についても適正に評価するために、入試においてスピーキングテストを導入することは必要な取組であると考えております。


何の疑問も持たずに「入試への導入は必要な取組」と本気で考えていることに驚きます。
時間配分の都合上、今回の質問には入れませんでしたが、スピーキングテストは午前組と午後組に分かれておこない、何と使用する機器は午前で使用したものを午後も使うのです。万が一午後に不具合が生じたら、午前中に録音した生徒の解答に影響が出ることも考えられます。
「話す力」も身に付けるなら、日常の学習でおこなえば良いのであって、わざわざ入試に導入する必要はありません。

今月22日に「令和5年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について」が発表されました。
英語スピーキングテストの結果の活用について示されています。これで実施が明らかになりました。

阿部公彦さん、宇都宮けんじさん、紅野謙介さん、杉田真衣さん、竹信三恵子さん、鳥飼玖美子さん、前川喜平さん、そして7月に練馬で開催した学習会に講師としてお呼びした大内裕和さんの8名が呼びかけ人となっている「都立高入試へのスピーキングテスト導入中止を求める緊急アピール」は12回目の提出に向けて賛同人を呼びかけています。