本庁舎の電力調達はより低炭素、100%再生可能エネルギーで

左から都議山内れい子、練馬区議きみがき圭子、FoE Japanの吉田明子さん、品川区議吉田ゆみこ、グリーンピース・ジャパンの鈴木かずえさん

第3回区議会定例会で生活者ネットワークは、区役所本庁舎の電力調達について取り上げました。昨年の一般質問でも取り上げましたが、今回は都内全自治体の調査をおこなったことから、その結果をもとに再度質問しました。

生活者ネットワークは今年2月から4月、国際環境NGO FOEJapan、国際環境NGO グリーンピースジャパンと共同で、東京都内62自治体の2011年度から2019年度までの本庁舎の電力調達や再生可能エネルギーに関する方針についてアンケート調査をおこない、報告書を作成し東京都に提出しました。

8月5日にはオンラインで報告会もおこない、自治体の職員や議員、報道関係、環境団体など大勢の方が参加してくださいました。

東京電力福島第一原発事故のあと、多くの新電力会社が発足し、電力調達を切り替えた自治体も多くみられました。しかし、その後再び東電に戻している傾向もあることから、自治体の取り組み状況について調査をおこないました。本庁舎は特に規模が大きいことから調査対象とし、電力調達先、調達方針、再生可能エネルギーに関する方針について62全自治体から回答を得ることができました。

各自治体の取り組みは再生可能エネルギーを基幹エネルギーとし、2030年には都有施設の使用電力を100%再生可能エネルギーとするゼロエミッション東京戦略にも大きくかかわる問題でもあります。

7割以上の自治体が環境配慮方針をもっている中で、島しょ部を除く53区市のうち、練馬区を含む11の自治体が2011年からずっと随意契約で東京電力から調達しています。また、16自治体が入札により新電力から調達していることがわかりました。

環境配慮方針に基づいていても、必ずしもCO2排出量や再生可能エネルギーなど気候変動を重視したエネルギー政策につながっているわけではなく、経済性を重視している自治体が多い状況です。

区は「本庁舎は規模が大きく特別高圧であることと、経済性、安定性、再生可能エネルギーの利用率からずっと東電に決めている。」と言いますが、2019年度の電源構成は石炭火力20%、ガス60%で火力が80%を占めています。電力小売り事業者の実績値一覧表を見ますと、特別高圧でもCO2排出量が低く、再生可能エネルギーの割合が高い事業者もあり、実際に都庁舎も総合評価方式で落札しています。
何を最重要な条件として電力を選ぶかが、その自治体の環境に対する意気込みを示すのです。

積極的に取り組んでいる自治体もあるのですから区としても気候変動に対応した電力調達に切り替えるべきです。

これに対し、区の答弁は

「これまでも第二次環境管理実行計画に基づき、電気使用量の削減に取り組んできた。計画最終年度である令和元年度は、平成21年度比で目標の7%を上回る削減をした。
電力の調達にあたっては、施設の規模や特性、供給電圧の種別などを総合的に勘案し、その時点で最適と判断した方法で契約を締結している。特別高圧電力を使用する区役所本庁舎も同様であり、現在は夜間の余剰電力を有効に活用し、昼の電力ピークを抑制する契約としている。電力の自由化が進み、供給可能な事業者が増えてきたため、既に契約の見直しについて検討を進めている。」

とのことです。

しかし、これは省エネルギーの取り組みであって、確かに省エネもCO2排出量の削減には効果がありますが、火力発電に頼っている限りゼロにはなりません。「電気の質」が重要です。

「契約の見直しを進めている」と前回より前向きな答弁でしたので、注視していきます。