補正予算におけるICT教育の環境整備にひと言

小学生が書いて
くれた「きみがきさん」

5月6日、新型コロナウイルス感染症に関連した補正予算のための臨時議会が開催され、予算委員会で質疑、審査がおこなわれました。

今回は座席の間隔を開けるために、約半数の議員による質疑で、審査、議決の時のみ全員出席という異例の体制でした。

生活者ネットワークは持ち時間9分、やない克子が産業融資資金あっせん等経費、特別定額給付金経費、学校情報化推進経費について質問しました。

補正予算777億1,095万円には賛成しましたが、学校情報化推進経費について気になること、注視していく必要があることについていくつかあげておきます。

今回の補正予算は、長引く休校で教育格差が広がることを懸念し、国が昨年打ち出した「GIGAスクール構想 子どもの学びの機会の保障」を前倒しでおこなうための支援です。
当初この構想では、2020年から2023年の3か年で全小中学校児童生徒に1人1台のタブレットパソコンを配備する計画で、区では今年度はまず12月をめざして小学校65校に15000台配備し、当面は共有して使用する計画でした。
補正予算が示されたことで今年度中に全小中学校児童生徒1人1台、合計46000台(予備を入れて約47000台)をリースで配備することになりました。

昨年区は、区内の全小中学校の教室に大型ディスプレイ、教員用パソコン、実物投影機を配備しました。
また、大型ディスプレイの効果検証を行うためのモデル校6校とは別に、タブレットに関するモデル校小中1校ずつを指定し、検証をおこなっています。

自宅学習が続く中、家庭でオンライン学習ができたり、ウェブでの学習支援サイトが利用できる環境にない子どもや不登校、ひきこもりの子どもに対する学習支援は急ぐべきで、今回に限らず私たちは常に「すべての子どもの学ぶ権利」を訴えてきました。
その意味でもタブレット配備には賛成です。

しかし、喫緊の対策としてできることは各校3台ずつWEBカメラ等を配置し、電話連絡だけでなく子どもの様子を把握する(1学期中には準備が整う)、ビデオカメラで作成した動画を見てもらう、というところまでです。
さらに教員をサポートするICT支援員の確保や、障がいのある児童生徒に必要な視覚、聴覚、身体など障がいに対応した支援も課題です。

また、校内に5G基地局を設置することを条件に校内の通信ネットワーク回線を無償提供するモバイル会社の支援プランなどもありますが、5Gについては健康被害を懸念して導入に規制をかけている国もある中で、安全性についての問題があります。

タブレットの保管は、中に入れておくと充電できる「保管庫」を考えているようですが、大量のタブレットを保管する管理や置き場所など、さらに手間がかかります。

新学期の授業も始まっていない中で、今年度の授業をどうするか、新しい学年でまだ本来の学校生活を送っていない状況で、学校が再開した時の子どもへのきめ細かな対応、英語も新たに始まり、授業や行事、通知表をどうするのか、など教員の負担はかなり大きくなることが予想されます。

そのような状況の中で国に振り回されて「補助金が出るからとりあえずやろう」ではなく、いろいろな課題を整理して現場の教員の声を聞き、状況を把握して計画を立てる必要があると考えます。
引き続き今後の進行状況を注視していきます。