幼児期の望ましい発達って何?
練馬区教育振興基本計画が改定されました。その第1章の「教育の質の向上」の主な取組に「小学校入学前の幼児教育の充実を図ります。」と示されています。
最初に「乳幼児期は、幼稚園教育要領や保育所保育指針において、生涯にわたる人間形成の基礎を培う重要な時期であるとされており、乳幼児の望ましい成長と発達を見通した適切な支援を行っていくことが重要」と書かれています。
幼稚園教育要領も今年度から改定され、その内容は新設項目が多く、あらたに5項目の目標と「幼稚園教育において育みたい資質・能力および幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」が10項目示されています。5項目の目標は
①健康な心と体
②自立心
③協同性
④道徳性・規範意識の芽生え
⑤社会生活との関わり
また、「幼稚園教育において育みたい資質・能力」の詳細内容では「文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、異なる文化に触れる活動に親しんだりすることを通じて,社会とのつながりの意識や国際理解の意識の芽生えなどが養われるようにすること。」が求められています。
幼児期に資質や能力を求めることや、小学校の道徳の教科化に合わせたとも思われる幼稚園での道徳や愛国心への教育が求められることに不安を抱いている人もいます。
中央教育審議会でも議論の中で幼児期までにすでに育っているその子どもの資質・能力にどうやってつなげるのか、丸ごとの子どもを大切にしていくということで、一人一人の子どもの良さをどう生かしていくかが重要、などの意見も出ています。
道徳の教科化が始まり、幼少期から健康で自立心や協同性があり、道徳心や愛国心をもち規範意識のある子ども、いわゆる「型にはまった優等生」を幼児期から育て、小学校での教科化された道徳につなげる、このような指導を今の政権の下で強要することに非常に危険性を感じます。
区は「幼稚園教育要領に示された『幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿』を実現することが幼児期の望ましい発達であり、練馬区の考える幼児教育になる。」と言っています。
しかし、子どもらしさや一人ひとりの違いがあることなど、それを認めて排除しないことを自ら学ぶことの方がはるかに重要で、平和への意識や国際理解につながると考えます。