憲法手帳の再発行を
2月6日、第一回定例会で一般質問をしました。
その一部、練馬区が以前に発行していた憲法手帳「憲法のしおり」についての質問と答弁です。
《質問》
1973年、当時の田畑健介区長は「憲法を暮らしの中に生かす」という理念のもと、毎年5月3日の憲法記念日には講演会を開催し、参加者に憲法手帳「憲法のしおり」を配布していました。10年後の1983年には非核都市練馬区宣言をしています。
しかし1997年、岩波区長が講演会と憲法手帳の発行を突然やめてしまいました。最後に発刊された1996年版「憲法のしおり」を保存してあります。
「憲法のしおり」には日本国憲法、地方自治法、教育基本法、児童憲章をはじめ、各宣言、さらには憲法問題の動きが細かく年表で記載されています。
冒頭の「発刊に当たって」には「私は区民の皆様とともに憲法の理念の実現を目指し、努力してまいりたい」さらに「国民主権、基本的人権の保障、平和主義の理念は、暮らしの隅々まで貫かれているのです。しかし、残念ながら憲法の崇高な理念は、すべて実現されているとは限りません。実現を目指し、努力してまいりたいと存じます。それには、私たちの憲法への不断の関心が大切なことであると考えます。」と岩波区長が決意を述べています。区民が憲法を身近なものとして考え、理解を深めてもらうために「憲法のしおり」を役立ててほしいとも書かれています。
22年後の今、安倍首相は憲法改定について「実現する時を迎えている」と述べ、今年中に改定の発議、2020年に施行という動きがあります。
改定案は憲法9条の第3項で自衛隊の存在を明記するというものです。
この場合、後から加えられた条項が優先されるという原則があるため、前項の「戦争放棄、戦力及び交戦権の否認」は無効となってしまいます。
憲法9条は不戦を誓った国民が、政権に歯止めをかけるものです。その憲法が戦争できる国にするために変えられようとしている今、再び「憲法のしおり」を発行し全区民・職員へ配布し、憲法への理解を深めるはたらきかけをして、区長は憲法尊重擁護義務を果たすべきですが、いかがでしょうか。
武蔵野市は中島飛行機武蔵製作所があったために9回の空襲を受けました。戦後70周年を迎えた2015年3月に憲法や人権の大切さを再認識してもらうとして「平和・憲法手帳」を作成しています。
《答弁》
区では毎年5月3日の憲法記念日に寄せて、区報で基本的人権の尊重について掲載するなど、各事業を通して憲法の理念の実現に努めている。
平和憲法の理念については、非核都市練馬区宣言を行うとともに、宣言のパネル設置、平和祈念コンサートやパネル展示など平和推進事業を実施している。
憲法のしおりを改めて発行する考えはないが、平和憲法への理解が深まるよう、引き続き平和推進事業を実施していく。
ところが非核都市宣言をしていると言いながら、次の質問で「日本政府が核兵器禁止条約に反対したことに対して署名するようはたらきかけるべき」と聞いたことに対し、「区は意見を申し上げる立場にない」との答弁でした。
平和首長会議にも参加していて、「平和首長会議は核兵器保有国を含む全ての国に対し、条約への加盟を要請し、条約の一日も早い発効を求めることをここに決議する。」という決議文も出しているのに、「区は言う立場にない」とはおかしくないですか?
憲法のことも核のことも、逃げずにきちんと向き合って欲しいです。