業務最適化と職員削減による課題解決は? ―企画総務委員会視察報告―
10月21日(水)~22(木)企画総務委員会で福岡県大牟田市役所と佐賀県庁を訪ねました。
21日 大牟田市 業務最適化計画について 大牟田市企画総務部人事課
1997年に三池炭鉱が閉山し、2002年には産炭地域振興臨時措置法が失効となり、厳しい財政状況になることから2001年、行財政対策大綱を策定しました。
行財政改革と財政構造の抜本的見直しにより職員数の減、給与等の適正化、公共工事のコスト削減、基金や地方債の活用などを実施して5年間で1期、2期合わせて約85億円の効果をあげています。
その後も職員配置適正化方針を策定し2002年から10年間で721人の職員削減をおこなっています。
方針の主な内容は「業務の必要性の見直し」「外部委託化の推進」「正職員の業務の効率化」などが中心です。
しかし職員減少に合わせた「少数職員体制での円滑な業務遂行」のため、事務事業の見直しが必要となり「業務最適化計画」を策定しました。
32の方策に分類し、削減可能な時間を算出し、年間約185人分の業務削減を見込んでいます。この計画を推進することで「業務効率化による市民サービスの向上」「市民・社会ニーズに即応した執行体制の確立」「職員の意識改革」「ワークライフバランスの確保」などの実現を目指すとのことです。
「市民へのサービス低下につながることはないのか。練馬区でも業務委託化により職員削減をすすめているが、さまざまな不祥事が続いている。そのようなことはないか。また、一人の職員への負担が多くなり、うつなどのメンタル面での相談体制は?上司など気軽に相談できる環境?」について質問をしました。
業務が効率化したのでむしろサービスは向上していて、不祥事についても今のところ起きていないとのことです。また、産業医がいて相談できる体制と、職場内でも上司には指導しているとの答えでした。
大牟田市は業務最適化計画で財政の危機を乗り越えていますが、どの自治体も厳しい財政状況でまず委託化や職員削減がすすめられています。しかしそれによってワーキングプアを生み出すことにもつながります。練馬区でも更なる職員削減を進めようとしていますが、市民サービスの低下や職員への負担増になっていることや、相次ぐ業務ミスが起きてることも認めるべきと考えます。
22日 佐賀県 テレワーク推進事業について 佐賀県総括本部情報・業務改革課
2004年の大幅な交付税削減で県行財政改革緊急プログラムを作成、7年間で500人の職員削減を目標として522人の実績となりましたが、引き続きサービスの質の確保と共に効率化をめざすことが背景にあります。
その中で職員の育休・介護時期にどのようにして仕事を継続させるか、女性の活躍や多様な人材の確保、新型インフルエンザ時の業務継続、行政ニーズの高度化・多様化を課題として全国初の在宅勤務制度を導入しました。
試行錯誤しながらICTを活用したテレワーク(在宅勤務、専用オフィスでのサテライト勤務、タブレットを用いたモバイルワーク)を実施。
モバイルワークは35部署に100台のiPadを配置2014年度からタブレット端末を1000台導入し、全職員が利用できるように研修しています。
実践効果として在宅勤務では女性職員だけでなく、男性も幼稚園やデイサービスの送迎ができるようになったことや、目の届くところで仕事ができて安心、勤務時間が縮減でき、在宅勤務の効果に直結していることなどが報告されています。
サテライトオフィスは県内に11か所、計40席、webカメラを設置してあり、近くのオフィスで仕事ができるようになっています。
モバイルワークは出張、現場、営業など 出先からの報告が随時できることや、現地でのプレゼン、ペーパーレスに効果をあげています。
これらはクラウド環境の活用で庁内と同じシステムが利用できます。
在宅勤務について多様な人材の確保では障がい者や社会になじめない若者の就労支援なども含まれているか、在宅勤務の必要がなくなった場合、いつでも職場復帰できる体制になっているか質問しました。
多様な、というところではそのようなことも考えている。また、在宅でも庁舎の情報を常に受け取れる状況にあるので復帰の際にギャップを感じることはない、とのことです。
また、停電やシステム異常によるトラブルはないか質問しましたが、逆にクラウド化されているので災害時にも安心できるそうです。
全国から視察や問い合わせがあるそうで、多様な働き方、特に女性の離職を減らすことや、業務の効率化としてはこれから必要になってくるのかな、と思いました。