原発事故のもとで成長する子どもの権利を考える

ソーシャル・ジャスティス基金主催のアドボガシーカフェに参加しました。

テーマは「原発事故のもとで成長する子どもの権利を考えよう」。

2人の講師の話を聞きながら皆で議論していくカフェ形式の講座です。

 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の保養班世話人をしている吉野裕之さん、福島大学准教授で福島・放射線副読本研究会メンバーの荒木田岳さんから福島の子どもたちの現状を聞き、子どもの権利について会場でグループに分かれて意見交換をしました。

 吉野さんは避難できない子どもたちの保養の手助けをしています。
福島県の小・中学校の放射線モニタリング結果では75.9%の学校で管理区域を超える放射線(0.6μSv/h以上)が観測されています。そのような中で既に放射線外部被曝量が3μSV/hの子どもがいるとのことで、内部被曝量を加えたらもっと高い数値になります。
国の定めた基準値は1mSV/年ですが、なぜ福島の子どもたちは20mSV/年なのか、県に申し入れをしていますが具体的な回答がないそうです。

 避難できる人は既にしているが、事情があってできない人もいる、そのために保養が必要だと吉野さんは手助けを始めたそうです。
しかし、今では保養もできる子どもとできない子どもの間に格差が広がっていて、保養に行ってきた子どもは学校で保養が楽しかったことを話せず、お互いに気を使っている、これは環境における子どもの権利が手薄になっていること、と話します。
そして保養は団体や学校ごとに行うことが必要だと。

また、発達障がいの子どもを受け入れられないことも大人の責任だと指摘しています。

 自然とふれあうことにより育っていく「子どもの育ち」が担保されていないことは問題であり、今大人が頑張らないといけないと聞き、自治体でしっかりと受け入れ体制をつくることが必要だと思いました。

荒木田さんは自分も当事者として被曝による影響に関する見解が分かれている中で、父親としての判断で避難を選びました。
今は大学が再開して除染活動もされていますが、どんなに頑張って除染してもなかなか放射線量が下がらず、周囲からは「市民の不安を煽るからやめろ」とも言われたそうですが、それでも今しかできない作業があり、それによって50年後、100年後に違いが出てくると思い、除染を続けているそうです。

 重要なのは子どもの線量限度が20mSV/hに上げなければならないほどに汚染されている所で子どもたちの学校生活がなんら変わらずに続けられていること。それは避難区域を拡大しないために行われていることであり、子どもたちが矢面にされていることなのだと訴えます。
そして国の原発事故の過小評価のもとで情報発信をすることは非常に難しくなっているが,福島が取り返しのつかないほどに汚染されてしまったという「認めたくない真実」を直視することからしか今後の展望は生まれないと話します。

 東京もかなり汚染されているはずですから、福島だけでなく、東京の子どもたちも同じだという視点で、自身で自分の足元から変えていくことの大切さを考えて欲しいとのことです。

 原発事故によって子どもの権利条約に掲げられている4つの権利(生きる、育つ、守られる、参加する)が侵害されています。
政治的な利権や大人の都合で子どもたちの権利が奪われていく現実をしっかりと受け止めて原発問題や復興のことに取り組んでいくことが私たち大人の責任だと思いました。