子どもの成長を阻む日本の貧困

今、少子化を売り物に子どもにお金をかける産業が止まることなく生み出されています。
一方では、家庭の経済に格差が生じて「子どもに対するお金の使い方」にも格差がおよび深刻化していますが、対策についてはまだ十分に議論されていません。

2009年、OECD(経済協力開発機構)の調査結果によると日本の貧困率は、加盟国30カ国の中でアメリカに次いで第2位、ひとり親家庭の子どもの貧困率に関しては第1位という驚くべき結果が出ています。
更に分析していくと、働いているひとり親家庭のほうが、働いていないひとり親家庭より、貧困率を上回るという特殊な現象が日本だけに見られます。
この原因の一つとして雇用の非正規化(特に女性)、社会保障制度のあり方に問題があると言われています。

私は以前教師をしていましたが、家庭の経済事情が原因で授業料が払えず、やむを得ず退学していく生徒を救ってあげることもできずに、非常に歯がゆい思いをした経験があります。今は、学費の問題に加えて、子どものアルバイト代もあてにしなければならない状況が生まれています。家庭の経済状況の背景には金銭的な問題だけではなく、それぞれの家庭の事情などもっと奥深いものがありますが、子どもの最善の利益が保障されていないことを実感しました。

子どもが家庭環境の中で安心して育っていくために、ひとり親でも安心して子育てをしながら働くことができる体制を充実いていくことや、困った時に誰にでも手を差しのべるてくれる社会保障制度、さらに、やり直しができる社会のしくみを確立することが必要だと思います。