「教えて!マイナンバー制度」学習会報告

2015年11月18日 11時05分 | カテゴリー: 活動報告

11月6日(金)、マイナンバー制度学習会を開催しました。講師は情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子さんです。今月中にマイナンバー(個人番号)の通知カードが届きますが、その後どうすればいいのか、個人番号カードは持つ必要があるのか、情報漏えいなどが不安、などの疑問についてたっぷり2時間お話を伺いました。 

以下、内容をまとめました。

 1、マイナンバーの利用目的

①社会保障・税番号制度と言いながら行政手続きのために利用するというのが基本的枠組みで、効率的な情報管理、効率的に個人情報を利用する、情報を迅速に受理する。

②行政の言う「利便性」とは
 行政の効率化は市民にとって手続きの簡素化・・市民の負担が軽減される。自分が本人であることを証明しなければならないことに住民票などの提出が必要なくなる。

 行政の効率化→手続きの簡素化→国民の利便性 

2、マイナンバーは何に使うか

①社会保障、税、災害対策(東日本大震災後追加された)の3分野。しかし国が定めた以外に自治体で条例として定めれば独自に使える。住民が「こんなところまで使ってほしくない。」と思えば条例を作って使わなければよい。

②その他国会裁判所の手続き、刑事事件の捜査など、関係ないところで使われているが、実は社会保障・税と言いながら法案ができるときからこの分野が入っている。

③自治体は警察からの捜査照会が多い。個人情報保護審議会において捜査上の必要性がある、緊急事態ということで住民票、生活保護、健康保険など広い範囲で使うことが認められている。今後どう使われていくか注視していく。

⑤外部との情報連携・提供・・他の自治体と本人確認のための情報連携ができる。今のところ利用できるのは社会保障と税の分野のみであるが、この先はわからない。この制度が利用拡大が前提となっていることが問題。

 3、個人番号カードと個人番号

①個人番号は105日の時点で住民票をもっている日本人、外国人に付番されている唯一無二の見える番号。住所、氏名。性別、生年月日と関連付けられている。この最新の情報が記録されているのが住民票。住民基本台帳に個人番号が入っている。住基ネットで11ケタの住民票コードが付けられている。この11ケタのコードから12ケタの番号を生成するが、お互いの番号が推測できないようになっている。個人番号は一度付いたら「数字が気に入らない」などの個人的な希望で変えることはできないが、情報漏えいや自分の番号が不正に使われたときは変えることができる。

②番号は通知カードが届くことで知らされる。これは個人情報が記載されているので番号が漏れないようにきちんと管理しておかなければならない。通知カードを受け取らない選択肢もあるが、戻されるだけで行政とっては利用上困ることはない。

③個人番号カード・・通知カードと交換できるのが個人番号カード。表に住所、氏名、性別、生年月日のほかに自分で用意した写真も載せる。裏に番号が書いてある。カードは身分証明として使えるが、コピーを取られるところもある。その際、番号が見えてしまうことは違法行為ではないが、個人番号を書き止めたり記録として残したときは違法となる。国は番号を隠すカバーも作成している。

個人番号カードは希望者が申請して取得する。あまり必要がないので無理して持つ必要はない。いずれにしても本人管理を求められる。

④カードを使う=個人番号と結び付ける ではない。カードの中に情報を記録する2つのスペースがあり、番号に結びつく部分と、結びつかないけれども色々な情報が記録できるスペース、例えば図書館カード、行政サービス、商店街のポイントなどに使う。

⑤金融機関は口座を持っている人から個人番号を取得することが義務付けられている。しかし、私たちが届け出る義務はない いやなら拒否できる。基本的には生活保護世帯の受給と資産情報取得のため。

 4、マイナンバーと個人情報

①個人を識別すると同時に生存する個人の情報。自治体が持っている個人情報は個人情報保護条例によって取扱のルールが決まっている。マイナンバー制度の導入で個人番号と結び付く個人情報は「特定個人情報」と呼ばれ、これはマイナンバー制度の中で保護することになる。

 2つに分けて管理しなければならないので自治体にとっては大きな負担。

また、扶養家族がいる場合、家族の番号も会社に届け出ると、届け出た人が「個人番号関係事務をする人」になってしまう。その人が故意でなくても個人番号を不正に扱ってしまうと罰則を受ける可能性もある。個人番号を適切に扱わなければならず、希望していないのに責任を負わされることになる。

②マイナンバーは見える番号としては手続きの時に番号提示して使う。見えない番号として使う場合は行政が情報連携システムを通して、番号が関連付けられている事務において個人の情報を他の自治体から取り寄せることができる。ただし、このシステムを通す時には個人番号を通知するのではなく、自治体が個人につけた見えないリンクコードが記録されている。コードだけ見ると同じ人だとわからないがシステムを通すと同一人物だとわかるしくみになっている。

③なぜ見える番号にするのか?
 
行政の効率化であるなら見える番号である必要はない。そのために多額の費用を投じてセキュリティを強化して職員や市民を教育しなければならない。行政が多額のコストをかけていることに疑問があるにも関わらず、その議論をきちんとしないまますすんでいることが問題。

④一番考えないといけないのは特定個人情報保護
 特定個人情報は自治体では従来の個人情報の利用範囲よりもっと制限された個人情報の取り扱いになる。個人情報保護制度は個人情報全体にかかわるが、特定個人情報はマイナンバー法による特別な保護制度。 

5、市民生活とマイナンバー

①マイナンバーを使うことになっている事務には「提示をしなさい」と言われることになるが、本人が「窓口で提示しない」、「会社に通知しない」ことと番号を事務で利用しないことは別。提示しなくても行政が手続きする時につけることで取り扱うことになる。ただし今後「番号を提示しないと手続きを受け付けない」、ということになると問題。番号がないと何もできないことになる。気をつけないといけないのはむしろ自治体の窓口で必 要以上にしつこく提示を求められたり、その場で申請を受け付けてもらえないなどの運用がされないようにする。

②家族が個人番号実施者になって取締りに合う、管理しないといけない主体に一人ひとりが置かれてしまうことになる。

③目的外利用と外部提供

一般の個人情報は本人不同意があればできるがマイナンバーがついている個人情報について目的外利用や外部提供の本人同意を求められることはないので気をつける。

 6、マイナンバーの利用状況どこまでわかるか

自分の情報がどこからどこに提供されたかは個人番号を使わなくても東京都や区に開示請求すれば見ることができる。
マイナポータル》
①自分の個人情報はどことどこが連携したか、自分がどのような行政サービスが受けられるかのお知らせなどを個人カードを作り、個人番号を使うことで見ることができる。
 個人番号を読むカードリーダー個人で買ってパスワードを設定し、アクセスする。

マイナポータルでワンストップサービス・・手続きの簡素化。住所変更など一度にできる。また、確定申告もできる。そのためにカードを作るか作らないかの選択は自己判断。

②行政が個人番号を利用する際、情報提供ネットワークシステムを通すと利用状況の記録が残り、確認できる。逆に通さないと残らない。行政の内部でどう利用したかはシステムを通して連携していなければ「わからない」ということになる。記録も本人に知らせてはならない場合、不開示になることもある。

③関心があるとカードを持つが、持たない人にとって不公平なサービス。
 自治体のサービスとして個人カードをどう使うか。持っている人が不必要に優遇されていて持たない人が不利益をこうむるのは違うので、よく見てみんなでチェックしていく必要がある。

 7、マイナンバーをめぐる問題

①カードとパスワードを持っている人が本人になる。
 社会保障で支援していこうとすると高齢者や障がい者の代わりに本人ではない人が色々な申請や手続きをしていることが多い。この制度の元では問題が起こらないように気をつけないといけない。本人が使えない状態でカードをもってしまうと「なりすまし」などのリスクも大きいので注意が必要。

②手続きの簡素化が進むと必要なところに行政の人の支援が手厚くならなくなることも気を付ける

③一元化、情報漏えい、ひもづけが広がる、番号カードを持たなければならない社会、なりすまし、民間でも使える。

一元化よりむしろ等級化・階層化の強化。社会保障や福祉のしくみは所得や資産によって支援の中身を分けていく。もともと社会保障の範囲の中で支援が必要な人に所得に応じて支援の範囲を分けていく目的でもある。それが最終的には「必要な人に必要なサービスを」と言うことにつながるが本当にそれでいいのか。

④パソコンを持っている持っていないで差別化。むしろ支援が必要な人は使えない。

⑤大量漏えい 

基幹システムからの情報漏えいは少ない。大量漏えいは委託を受けた事業者から起きることが多い。
システムが安全でもあちこちで引き出して使うので自治体の中での管理や、民間でしっかり管理でいないところから漏れる可能性があり得る。

⑥行政サービスの効率化・・人に対する支援は番号がしてくれるのではなく人の手によるもの。効率化を理由に社会保障の予算が削減されたり、人の再編や支援が再分配されないように見ていく必要がある。

⑦買い物時のカード提示は今のところはない。

⑧住基カードが普及しなかったため政府は個人カードを普及させたい。職場や公務員の集団申請では嫌と言いにくい状況でほぼ強制化されていく。

8、利用拡大
①医療分野 保険料や診療報酬などは結びつく。その先の病歴や福祉サービスでうけている個々の状態に関する情報まではひもづけできないが、福祉・医療・介護連携においては医療の現場でも福祉や介護の情報が必要な場合がある。これをマイナンバーを使って連携させることがこの先進むが、多くの人が知らない、気が付いたら多くの仕組みが入っていたということにならないようにオープンにさせていくことが必要。

②民間分野での利用解禁。自分のビジネスとして利用することは認められてるが利用範囲の制限が不可能になる。

 政府の動向を見て違うものは違うと私たちがはっきり言わないとどんどん利用範囲が広がっていく。

 9、持たない選択がずっとあり続けるか

今後色々な議論が出てくるので、逆に私たちがどうしたいのかをはっきりと示していくことが必要。

来年1月から運用開始となりますが、すでに他の自治体ではトラブルが発生しています。「区のセキュリティはしっかりしているから大丈夫!」と言われても大切な自分の情報が知らないところでどのように使われているのか、不安を抱かざるをえません。
今後も最新情報を届けていきます。