「これはおかしい」という小さな声が、「大丈夫」という大きな声に消されて・・・ 

11月30日、練馬・生活者ネットワークは生活者宣言のつどいを開催、第1部では映画監督の鎌仲ひとみさんの作品「カノンだより」を上映し、鎌仲監督に講演してもらいました。

 鎌仲さんは福島第一原発事故の後、チェルノブイリ原発事故の影響を受けたベラルーシと福島の子どもたちの取材を続けて来ました。そのレポートをまとめた映画「小さき声のカノン」が来年3月に上映されますが、製作途中でいち早く情報を届けたいと「カマレポ」をメルマガ配信しています。このメルマガ3本を「カノンだより」としてDVDにした作品を今回上映しました。

◆鎌仲ひとみ監督の講演より 

<福島の被災地の取材>

『現場に行くとどれだけ偉い人が大丈夫と言っても被害は出ている。放射能がなかったら病気にならなかったであろう人達がいることを世界の汚染地帯に行って取材しながらみてきた。福島では私たちが東京でおくっているのと同じ普通の日常が広がっているが、ポケットに入れてある放射線計測器はピーピー鳴る。事故後、政府がとった対応や、年間1ミリシーベルトの基準を20ミリシーベルトまで上げ、もう戻っていいと言う無責任さ、また福島県内の子ども30万人の健康調査では103人の子どもが甲状腺がんであることがわかっても、県はこれが事故によるものだとは認めず再検査の必要もないと言う。鼻血が出ても「復興しないといけないんだからそんなこと言うな」、とか「風評被害」と言われるとお母さんたちは声を上げられない。「大丈夫」という大きな声に「避難したい」、「これはおかしい」というお母さんたちの小さい声が消されてしまう。どうやって見えない放射線の脅威から子どもたちを守っていくかが今問われているのではないかと思っている。』と、監督の力のこもったお話しに会場は引き込まれました。

<被ばくしたベラルーシの子どもたちの今>

ベラルーシの今は福島の24年後。ベラルーシは事故後3歳から18歳まで全員避難させ、今でも毎年健診をおこない、保養も国がおこなっています。保養に行って帰ると見違えるように子どもたちが元気になって、被曝量も半分以下になるそうですが、それでも当時の子どもたちが大人になった今病気を発症する人が増えています。

『これを教訓にするべきなのに、日本は被害の実態が理解される前に既に忘却。まだ伝わっていないのにオリンピックのことを考えようと言い、福島の人達は見捨てられている。政府がもう忘れていいと言っても忘れていいものではない、と思って映画を作っている。普通の暮らしの中で感じていた小さな幸せ、当たり前の幸せがごそっと奪われたお母さんたちが「やっぱり子どものためにこれは」という瞬間を取り続けてきた。子どもを守る保養を制度とすることは国がやるべきこと。お母さんたちにできることはたくさんあり、その具体的なものを「小さき声のカノン」に入れた。』 とのことです。

鎌仲監督はとにかく明るく気さくな方で「一緒に頑張ろう!」と声をかけていました。

 

生活クラブなどで保養や子どもの健康調査に取り組んでいます。また、練馬では「福島こども保養プロジェクト@練馬」が活動を続けています。

生活者ネットワークもこれまで保養の大切さを訴えてきましたが、今後も自治体としての取り組みや活動団体への支援を求めていきます。

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