「住民投票の新しい波」~大事なことは市民が決める~

 

26日、パネルディスカッション「住民投票の新しい波」に参加しました。

住民投票といえばこれまで「反対の立場の住民がおこなうもの」と思っていました。
しかし長野県佐久市では総合文化会館、埼玉県北本市では新駅の建設に賛成の立場から市長が住民投票を提案し、市民に是非を問うという今までになかった取り組みがされています。
この2人の市長と社会学者で「原発」都民投票条例の制定を求める直接請求代表人の宮台真司さん、ジャーナリストの大芝健太郎さんをパネリストに、これから住民投票を市民自治のツールとしてどう使いこなしていくかのお話を聞きました。

 

大芝さんと。右は区議のやない克子。

まず、大芝さんからドイツとスイスでの住民投票を現地取材した報告がありました。
ベルリンで昨年、電力網の再自由化を求める住民投票がおこなわれたこと、スイスでは年4回国民投票がおこなわれていることについてです。投票率が低いと「議員に任せればいいではないか」という声もありますが、数多く行うことで「自分にとって重要だと思ったら行く」「決めたいと思ったら決める」と自由な選択により国民が直接参加しています。
そしてインタビューにも「日本には何でないの?」と逆に国民投票がおこなわれていないことを不思議に思う人もいました。

日本では昨年住民投票条例が制定されたのは36件、そのうち可決11件、実施されたのが3件とわずか8%でした。テーマは94%が市町村の合併に関わるものです。
議員提案の議決率が低いこと、議会における議決の力が大きいことから、最近では議会に拒否権を与えない実施必至型の住民投票条例を制定する自治体が増えているとのことです。

佐久市長と。

北本市の石津賢治市長からは、北本駅前広場改修事業において屋根をつけることが議会で可決された後に、ある議員が反対、白紙撤回を求めたことを機に、統一地方選挙でこれだけが争点になったこと、また高崎線の新駅建設の賛否を問う住民投票についてのお話がありました。
新駅=投資、リターンの面からも市長は新駅建設を公約にしていました。議会でも可決されましたが、住民の意見も聞くとして住民投票を提案し、実施した結果、反対多数という予想しなかった事態になり、新駅は白紙撤回となりました。

佐久市の柳田清二市長は2008年の市長選で争点となった駅前の総合文化会館建設について話されました。
柳田市長はアンケートや住民投票を用いて慎重な対応をする、という公約で当選しました。
90億の予算で建設してもすでに近隣4駅に1500人規模の会館があり、集客が見込まれない、イベントがあってもほとんどが市内から車で来るため、渋滞になる。その時に市民の不満は「誰が作ったのか」→市長の責任となるだろう。それならば住民投票で決めようと考え、納得できない社会への説明責任を果たすために徹底した情報公開もおこないました。寄せられた質問や意見にはすべて回答し、まとめた広報を号外として配布し、投票の参加を促しました。討論会も開催し、投票率52%、反対71%で建設は白紙に。今ではこの土地は交流ひろばになっています。
しかし市議会議員選挙でこのことにふれたのは28議席に35人が出馬した中のたったの1人だったそうで、自分の選挙にマイナスになることは選挙公報に書かないことが明確になっています。

パネルディスカッションでは、宮台さんは「住民投票は学びの蓄積が大切、結果的な失敗を繰り込んで展開していくもの。民主主義と多数決とは違い、民主主義は自分たちで考えること」と話します。

会場から憲法改悪についても護憲派の中にも国民投票には賛成、反対がいる。これについてどうか、との質問がありました。

宮台さん:「今の状況ではマズイ。広告代理店を使った情報管理のプロに抗うことは無理でしょう。」
佐久市長:未来のことは誰にもわからない。しかしみんなで決めてその方向に向かっていく荷物の持ち方が大切。その意味で国民投票は是。
北本市長:これまで自分たちが社会の仕組みを獲得してきていない。国の成り立ちを知らない。自分の生活に要るのか要らないのか、子や孫にとって必要なのかを考えなければいけない。

北本市長と。

住民投票が市民の政治への直接参加、意思表示の場であり、まさに「大事なことは市民が決める」市民自治の重要なツールであることがあらためて確認できました。
それと同時に、日本においては行政と市民の間に議員の政治的利用という壁が立ちはだかり、これをどう崩していくのかが課題です。
市民もこの道具をもっと使いこなせるよう学習し、身近な問題から体験していくことで「お任せ政治はダメ!」という意識をもてたら良いと思います。