委員会視察(2) 佐賀県ICT利活用教育推進事業

 視察2日目は佐賀県議会と県立致遠館中・高等学校を訪問。

佐賀は田畑が多く、電車から見える田園風景に驚きました。日本酒産業が盛んなこと、太陽光パネル設置率が日本一、軽自動車保有率が日本一で一人1台持っている、などが特色です。

 先進的ICT(情報通信技術)利活用教育推進事業について

まず県議会の議会棟で教育庁教育政策課の教育情報化推進室長から説明を聞きました。

佐賀県議会本会議場

この事業推進の背景として「高度情報化社会への対応」、「学力向上の取組強化」、「質の高い教育の確保を求める要望の拡大」が挙げられています。

韓国やシンガポールなどの情報教育先進国との学力の格差が拡大していることやインフルエンザによる学級閉鎖、地震や風水害の自然災害発生時、不登校や特別支援教育対象者への対応、など学校で授業ができない場合でもICT活用で授業が受けられることなどがら事業の必要性が生まれました。

そして期待されることは授業に対して子どもたちが生き生きと明るく参加する、顔をこちらに向けることで学びの質が向上することや授業が変わることで教師の指導の質も向上し、結果として学力の向上につながることです。

10年後のめざす姿はデジタル教科書・教材への活用・電子黒板の整備(1クラス1台)・情報端末を児童生徒一人1台。

教育委員会・企業が各学校の情報を専用回線によって管理して教材提供や授業支援をおこなう環境が構築され、今後は佐賀県教育クラウドで各家庭や保護者の携帯・スマートフォンとの双方向通信も可能になるそうです。

2011年度からモデル事業が始まり、県立中学校2校、特別支援学校、市町立小中学校で実施されています。
まずは教師の研修が必要ですが各学校から推進リーダーを選び、代表で研修して学校に持ち帰り全職員に指導する、というしくみになっています。

 今回は県立致遠館中学校を見学させていただきました。
ここはもとは佐賀藩校で長崎に設けられて英学稽古所だったそうで、現在は中高一貫校になっていて県全体から生徒が集まってきている受験校となっています。広くて明るくとても環境の良い学校です。
校長先生のお話を伺った後、中学1年生の英語の授業を参観しました。

電子黒板に、生徒の机上に置かれたタブレット型パソコン。初めて見る光景です。
会話をしながらゲーム感覚で授業がテンポよくすすめられていきます。生徒の手書きの回答が一度に9人分電子黒板に映し出され、見比べることができます。
補助教員が2名ついて個々の指導にあたっていました。

ICT授業に関する生徒と職員へのアンケートの結果、8割が「良い」と回答しているそうです。子どもたちは覚えも早く、機器の操作自体には何の抵抗もないけれども、機器の動作に関する不満もかなり多いとのことです。
参観していてもうまく映し出されない、自分のパソコンに通信されてない、と手を上げる生徒も結構いてこの対応でなんとなく忙しなく落ち着かない授業の印象も受けました。

数学の立体的な思考が必要な図形の問題などには視覚的に理解しやすいのかな、とは思いますが、やはり教師が一人一人の顔を見たり、机の間を回ってノートをのぞいたり、持ち物から家庭の状況が見えてきたり、などのふれあいも大切な教育なのでは、と思ってしまうのは古い考えでしょうか?

一緒に視察した委員の中でも「これからはこういう時代でしょう?」派と「やっぱり教師と生徒の生身のコミュニケーションが大事なのでは?」派に分かれました。

10年後にどのような結果が出るかわかりませんが、学校は学力向上とともに人間形成の場でもあるのかな、と思います。

またセキュリティや生徒が持ち帰った時の情報モラルについての課題もあるとのことです。今後全県立学校で本格実施されるそうですが、学校によっても状況が違えば、また様々な課題も出てくるでしょうし、職員と生徒両方の立場からきちんと検証することが大切です。
 環境整備の費用はパッケージで1校平均1億円。佐賀県は県の災害対策予算を利用しているそうです。

練馬区では今は教師のPC研修の段階で、今後ICT利用については検討していくとのことですが、子どもたちが育っていく大事な過程ですので、十分な議論と検討をおこない慎重に考えて欲しいです。