正しく教えて 放射能のこと

来年4月から実施される新しい学習指導要領は中学3年生の理科にエネルギー資源についての項目が加わり、その中で「放射線の性質と利用」について取り上げられています。教師の生徒への指導手引きとして
①人間は,水力,火力,原子力などからエネルギーを得ていることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。
②放射線の性質と利用にも触れること。
と掲げています。
理科の教科書は今年2月に検定が終わり、練馬区では8月8日の教育委員会で東京書籍に決定しました。
しかし今月27日に5社の出版社のうち4社が3月の福島原発事故を受けて、内容の一部を訂正する申請をしました。
東京書籍も訂正を申請した1社であり、放射線の人体への影響の部分について修正を加えるとの報告でした。

子ども達は授業での話をそのまま受け止めますから、教科書の内容が子どもたちに大きな影響を与える場合もあります。
だからこそ正しい情報を提供し、事実を知り、考える力を養う必要があります。

理科では文科省が作成した副教材があり、平成21年度に各校に配布されたものを見ますと全体的に原発を推進している内容になっていてそこでは安全性も謳われています。
また、この副教材を作成したのは日本原子力文化振興財団であり、この団体の役員には文科省や東京電力などの職歴をもった人もいます。

来年度から使用する副教材は今回の事故をふまえて見直すよう中央教育審議会においても指示があり、文科省では新しいものを作成中とのことですが、少なくとも今年3月までの2年間はこの教材で学習していたわけです。
私が先日行った原発に関するアンケート調査でも、家族や学校など、まわりの環境が子どもの意識や行動に影響していることがわかりました。

この影響について区に質問しました。
練馬区では新学習指導要領においては教員にまず正しい認識をきちんと指導して学習に生かしていくことが大事ということで、研修を行っていて、子どもへの影響は確かに認識が不足している部分もあるので学習の中できちんと指導していく、との回答がありました。

「放射線の性質と利用」の項目の追加が決定され、その後の福島の事故、という今こそ、子どもたちが正しく学習し、エネルギーについても一人ひとりがきちんと考え、判断できる力をつけられるような教育の現場であって欲しいです。